持続化補助金とIT導入補助金の併用|可否と使い分け
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公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
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この記事の結論
持続化補助金の公募要領には、国の他制度と同一・類似の内容の事業は対象外であること、国の他制度と重複する経費は対象外であることが明記されています(P.7、P.18〜20)。第19回のよくあるご質問でも、同一事業者・同一内容での国の他の補助事業との併用はできないと整理されています(Q3-5。
結論:同じ内容での重複は不可、内容が分かれていれば使い分けの余地がある
持続化補助金の公募要領には、国の他制度と同一・類似の内容の事業は対象外であること、国の他制度と重複する経費は対象外であることが明記されています(P.7、P.18〜20)。第19回のよくあるご質問でも、同一事業者・同一内容での国の他の補助事業との併用はできないと整理されています(Q3-5。参考情報)。
つまり「同じ会計ソフトの導入費を両方の補助金で申請する」「同じ店舗改装費を2つの補助金で受け取る」といった使い方はできません。後者は公式サイトが不正受給の例として具体的に挙げているケースです。
一方で、持続化補助金の対象経費は8区分に限定されており、デジタル化・AI導入補助金は事務局に登録されたITツールの導入を対象にしています。取組そのものが別で、計上する経費も重ならないのであれば、別々の事業として各制度に申請する余地があります。ただし判断は個別になるため、計画段階で各事務局に確認するのが安全です。
重複受給は不正受給になります
同一内容について国の他の補助金と重複して受給する行為は、公式サイトの「補助金の不正受給等の不正行為に対する処分」のページで不正の例として挙げられています。発覚した場合は交付決定の取消、加算金付きの返還命令、不正内容の公表、補助金適正化法にもとづく5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
制度ごとの違いはIT導入補助金との違いでも整理しています。
公募要領のどこに重複禁止が書かれているか
「併用できるか」を判断するときは、根拠になる条文を押さえておくと迷いません。持続化補助金の第20回公募要領では、次の3か所が関係します。
| 記載箇所 | 内容 |
| 対象外となる事業の例(P.7) | 国の他制度(委託費、公的医療保険・介護保険の診療報酬、FIT等)と同一・類似の内容の事業は対象外 |
| 共通の対象外経費(P.18〜20) | 国の他制度と重複する経費は対象外 |
| 展示会等出展費(P.11〜21) | 国の助成を一部でも受けるものは対象外 |
3つ目は区分別のルールですが、考え方がよく表れています。展示会等出展費については、国の助成を「一部でも」受けているものは対象外とされています。一部でも重なればアウトという基準は、経費の切り分けを甘く見ないほうがよい理由になります。
同一内容とは何を指すのか
公募要領は「同一・類似の内容の事業」という書き方をしています。経費の名目を変えても、実態として同じ取組であれば重複と判断され得ます。切り分けを検討するときは、少なくとも次の点を説明できる状態にしておきます。
- 取り組む内容がそれぞれ何であり、どこが違うのか
- どの費用をどちらの補助金で計上するのか、請求書・領収書の単位で分かれているか
- 成果物や導入するものが別々であること
- 実施の時期や対象範囲がどう分かれているか
説明が曖昧なままだと、実績報告や検査の段階で問題になります。持続化補助金は関係書類を事業終了後5年間保存する義務があり、会計検査院等の検査対象になります(P.24〜26)。後から説明できる形で整理しておいてください。
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の概要
かつてIT導入補助金と呼ばれていた制度は、2026年の公募ではデジタル化・AI導入補助金という名称になっています。中小企業庁が運営するミラサポplusの補助金紹介ページで、内容と日程を確認できます。
| 項目 | 内容(ミラサポplus・2026年9月11日閲覧) |
| 事業目的 | 生産性の向上や労働環境の改善のために、デジタル化・DX推進のためのAIを含むITツール(業務管理システム・会計ソフトなど)の導入および活用を支援 |
| 補助率 | 1/2から4/5 |
| 補助上限額 | 最大450万円 |
| 対象 | 事務局に登録されているITツールの導入 |
| 申請の仕方 | IT導入支援事業者(ITベンダー等)のサポートを受けながら申請 |
| 導入後 | ITツール導入後の活用についても支援が受けられる |
枠とスケジュール
2026年の公募は複数の枠に分かれています。公募要領の公開日はいずれも2026年2月27日です。
| 枠 | 用途 | 申請受付期間 |
| 通常枠 | 業務効率化から売上アップまで、幅広いITツール導入 | 2026年3月30日から9月29日 |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス対応の会計・決済ソフトの導入 | 2026年3月30日から9月29日 |
| インボイス枠(電子取引類型) | 受発注業務のデジタル化 | 2026年3月30日から9月29日 |
| セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ対策の強化 | 2026年3月30日から9月29日 |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 地域や取引先と連携した共通課題の解決 | 2026年3月30日から10月30日 |
公式ページは it-shien.smrj.go.jp です。枠ごとに公募要領と要件が異なるため、詳細は公式ページで確認してください。なお、持続化補助金の第20回は申請受付が2026年11月5日開始と後ろにずれています。両制度を同じ年度に検討する場合は、この時間差を考慮してください。
2つの制度の比較
制度の性格が違うため、比べる軸は補助額だけではありません。誰の支援を受けながら申請するのか、何に使えるのか、いつ申請するのかが実務上の分かれ目になります。
| 項目 | 持続化補助金(一般型 通常枠 第20回) | デジタル化・AI導入補助金(2026年) |
| 目的 | 経営計画にもとづく販路開拓等の取組と、それに伴う業務効率化を支援 | ITツールの導入および活用による生産性向上・労働環境の改善を支援 |
| 補助率 | 2/3(賃金引上げ特例の赤字事業者は3/4) | 1/2から4/5 |
| 補助上限額 | 50万円。特例の上乗せで最大250万円 | 最大450万円 |
| 対象になるもの | 機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・旅費・新商品開発費・借料・委託外注費の8区分 | 事務局に登録されているITツール |
| 申請前の必須手続き | 商工会・商工会議所による事業支援計画書(様式4)の発行 | IT導入支援事業者(ITベンダー等)のサポートを受けて申請 |
| 直近の受付 | 2026年11月5日から12月15日17:00 | 枠により2026年3月30日から9月29日または10月30日 |
| 公式サイト | official.jizokukanb.com(商工会地区)/r6.jizokukahojokin.info(商工会議所地区) | it-shien.smrj.go.jp |
持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることが対象事業の要件です(P.6)。デジタル化・AI導入補助金は、事務局に登録されたITツールを扱うIT導入支援事業者と組んで申請します。相談する相手がそもそも違う点は、準備を始める前に理解しておきたいところです。
経費で見る使い分け
実務では「この費用はどちらに出すか」という形で悩むことが多くなります。持続化補助金の8区分と照らして整理します。
| 使いたい費用 | 持続化補助金での扱い | 検討の方向 |
| ホームページの新規制作・改修 | ウェブサイト関連費。補助金交付申請額の上限30万円(税込)・単独申請不可 | 小規模な制作なら持続化補助金。大きな金額はITツールの登録有無をIT導入支援事業者に確認 |
| 会計ソフト・受発注システム | ウェブサイト関連費に区分されます(第19回よくあるご質問。参考情報)。上限30万円(税込) | まとまった導入費ならデジタル化・AI導入補助金の対象範囲を確認 |
| POSソフト・顧客管理ソフト | ウェブサイト関連費(同上) | 同上 |
| ECサイトの構築 | ウェブサイト関連費。上限30万円(税込) | 同上 |
| チラシ・カタログ・看板 | 広報費。補助金交付申請額の上限30万円(税込)・単独申請不可 | ITツールではないため持続化補助金 |
| 展示会への出展 | 展示会等出展費 | 国の助成を一部でも受けるものは対象外。持続化補助金で計上するなら他制度の助成を受けない |
| 製造用の機械・厨房機器 | 機械装置等費 | ITツールではないため持続化補助金 |
| 店舗の改装 | 委託・外注費 | ITツールではないため持続化補助金。他制度との重複受給は不正 |
| 新商品の試作・デザイン | 新商品開発費 | 持続化補助金 |
整理すると、ソフトウェアやシステムのようなITツールで金額が大きいものはデジタル化・AI導入補助金の検討対象、紙の販促物や設備、展示会、店舗まわりの取組は持続化補助金という切り分けが基本線になります。ただし、どちらの制度も「対象になる」と決まっているわけではなく、要件に合致するかは個別の判断です。
持続化補助金で対象外になる代表例
- コンサルティング・アドバイス費用(インボイス制度対応のための専門家相談費用のみ例外)
- 光熱水費・通信費、消耗品(名刺・文房具・インク・用紙・梱包材等)
- 自動車等の車両本体、不動産の購入・取得費、修理費
- 役員報酬・直接人件費、謝金、アルバイト代等の雑役務費
- 振込手数料・決済手数料、借入金利息、成功報酬型・売上連動型の費用
どちらを先に検討するか
迷ったときは、やりたいことが「売り方を変える取組」なのか「業務のやり方を変える取組」なのかで一度分けてみると整理しやすくなります。持続化補助金は販路開拓等の取組と、それに併せて行う業務効率化を対象にしており、事業効果報告書の提出時点の売上高・売上総利益が補助事業終了時と比較して増加が見込めることが対象事業の要件です(P.6)。売上に結び付く筋道を書けるかどうかが、そのまま採否に影響します。
デジタル化・AI導入補助金は、生産性の向上や労働環境の改善のためにITツールを導入し活用することを目的とした制度です(ミラサポplus・2026年9月11日閲覧)。バックオフィスの効率化のように、直接の売上増より社内の手間の削減が主目的になる取組は、こちらの考え方に合います。
なお、持続化補助金は上限50万円(特例の上乗せで最大250万円)に対し補助率2/3です。上限50万円を使い切るには75万円の対象経費が必要で、残りは自己負担になります。補助金は精算払いで、事業の実施中は全額を立て替えます。どちらの制度を使う場合も、手元資金の計画を先に立てておいてください。
持続化補助金のウェブサイト関連費で押さえる3つのルール
IT関係の費用を持続化補助金で計上する場合、ほとんどはウェブサイト関連費に入ります。この区分には第20回で特に注意すべき点が3つあります。
| ルール | 内容 | 根拠 |
| 上限は定額30万円(税込) | 補助金交付申請額の上限が30万円(税込)です。第19回までの「補助金交付申請額の1/4(最大50万円)」という按分ルールは第20回には当てはまりません | P.13、P.14 |
| 単独申請は不可 | ウェブサイト関連費だけを計上した申請はできません。他の区分の取組と組み合わせる必要があります | P.14 |
| 対象外の中身がある | コンサルティング・アドバイス費用、電子書籍の出版費は対象外です(新商品開発費としても対象外)。他社のホームページ制作費も対象外です | P.11〜21、P.18〜20 |
第20回の変更点である定額30万円は、ネット上の解説が古いままになっていることが多い箇所です。他のサイトで1/4という説明を見かけた場合、それは第19回以前の情報です。詳細はホームページ制作費の記事とウェブサイト関連費の解説で扱っています。
また、50万円以上のウェブサイトやシステムは処分制限財産にあたり、通常は取得日から5年間、処分に事務局の承認が必要です(P.24〜26)。導入後すぐに別のシステムへ乗り換えるような計画は組みにくくなります。ECサイトの扱いはECサイト構築の記事、パソコンやタブレットの扱いはPC・タブレットの記事を参照してください。
やってはいけない組み合わせ
切り分けのつもりでも、実態として重複にあたる形があります。公式サイトの不正行為に関する記載と公募要領の対象外規定から、避けるべきパターンを挙げます。
| 避けるべき形 | 理由 |
| 同じシステム導入費を、両方の補助金で計上する | 同一内容の重複受給。公式サイトが不正受給の例として明記 |
| 1つの見積書を金額で分割し、両方に振り分ける | 国の他制度と重複する経費にあたり得ます。実態として同一の取組です |
| 同じ展示会の出展料を、国の他の助成と併せて受ける | 展示会等出展費は国の助成を一部でも受けるものは対象外 |
| 名目だけを変えて同じ成果物を2度申請する | 同一・類似の内容の事業は対象外 |
| 代行業者の勧めで、内容を精査せず両方に出す | 宣誓・同意書に同意して申請するのは事業者本人です。処分は事業者に及びます |
判断に迷ったら申請前に事務局へ
併用の可否は、取組の中身と経費の切り分け方によって変わります。持続化補助金の問い合わせ先は地区によって異なり、商工会地区は official.jizokukanb.com、商工会議所地区は r6.jizokukahojokin.info が公式サイトです。どちらの地区かは事業を営む場所の市区町村で決まります(表紙・P.1)。デジタル化・AI導入補助金については it-shien.smrj.go.jp とIT導入支援事業者に確認してください。
併用を検討するときの手順
両方を視野に入れる場合、順番を決めておくと無駄が出ません。持続化補助金は様式4の発行という外部手続きが挟まるため、逆算が要ります。
| 手順 | やること |
| 1 | やりたい取組を書き出し、ITツールで実現するものと、それ以外に仕分ける |
| 2 | ITツール側は、導入したい製品が事務局に登録されているかをIT導入支援事業者に確認する |
| 3 | それ以外は、持続化補助金の8区分のどれに当たるか、対象外に触れていないかを確認する |
| 4 | 両方に出す場合、取組と経費がどう分かれているかを文章で説明できるようにする |
| 5 | 各制度の事務局・窓口に、その切り分けで問題ないかを申請前に確認する |
| 6 | 持続化補助金は商工会・商工会議所へ様式4の発行を依頼する(発行受付締切2026年12月4日) |
| 7 | それぞれの締切までに申請する |
| 8 | 採択後は請求書・領収書を制度ごとに分けて保管する |
持続化補助金では、同一事業者が同一の受付締切回に応募できるのは1件のみです(P.22〜23)。これは持続化補助金のなかでの制限であり、他制度との関係は前述の重複禁止のルールで判断します。対象経費の全体像は対象経費8区分の一覧で確認できます。
時間軸の違いに注意する
2つの制度は申請時期も実施時期も異なります。持続化補助金は採択発表が2027年3月頃で、交付決定はさらにその後です。着手できる時期が大きくずれる点は、計画を立てるうえで見落とせません。
| 項目 | 持続化補助金 第20回 |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日 |
| 様式4の発行受付締切 | 2026年12月4日 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日 17:00 |
| 採択発表 | 2027年3月頃予定 |
| 交付決定 | 採択発表からおおむね1か月から2か月 |
| 見積書等の提出期限 | 2028年2月29日 |
| 補助事業実施期限 | 2028年3月31日 |
| 実績報告書の提出期限 | 2028年4月10日 |
持続化補助金では、交付決定日以降に発生し、補助事業期間内に支払いが完了した経費だけが対象です。採択の通知を受け取っただけでは着手できません(P.24〜26)。先にITツールを導入してしまうと、その費用を後から持続化補助金に計上することはできません。順番を間違えないよう、着手のタイミングを制度ごとに管理してください。
デジタル化・AI導入補助金の2026年の受付期間は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠が2026年3月30日から9月29日、複数者連携デジタル化・AI導入枠が10月30日までです(ミラサポplus・2026年9月11日閲覧)。最新の状況は公式ページで確認してください。
他の補助金との関係も同じ考え方
重複禁止のルールは、IT導入補助金に限った話ではありません。国の補助金全般に同じ考え方が当てはまります。2026年9月時点でミラサポplusに掲載されている主な制度を並べると、投資の規模と目的で棲み分けが見えてきます。
| 制度 | 補助率 | 補助上限額 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 2/3 | 最大250万円 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金) | 1/2から4/5 | 最大450万円 |
| 省力化投資補助金 | 1/2以下もしくは1/2から2/3 | 最大1億円 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 1/2、2/3 | 9,000万円 |
| 成長加速化補助金 | 1/2 | 5億円 |
| 事業承継・M&A補助金 | 1/3から2/3 | 最大2,000万 |
いずれもミラサポplusの補助金一覧(2026年9月11日閲覧)に掲載されている数値です。各制度の要件・公募状況は変わるため、検討する際は必ず各制度の公式サイトで確認してください。省力化投資補助金との関係は省力化投資補助金との併用、ものづくり補助金の公募終了と後継制度についてはものづくり補助金の終了と後継制度で扱っています。
なお、持続化補助金の災害支援枠については、通常枠との同時申請が可能とされています(第19回よくあるご質問 Q2-10。参考情報)。ただし令和6年能登半島地震等に伴う加点は、同地震の災害支援枠に申請中の場合は選択できません。枠ごとの取り扱いは制度内でも異なるため、個別に確認してください。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。持続化補助金の内容は第20回公募 公募要領 第8版にもとづいています。デジタル化・AI導入補助金の数値・日程は中小企業庁ミラサポplusの掲載内容(2026年9月11日閲覧)です。日程・要件・金額は変更される場合があります。併用の可否は個別の事情により判断されるため、申請前に各制度の事務局にご確認ください。本記事は採択や補助額を保証するものではありません。