この記事の結論
事業効果報告は、補助事業が終了してから1年後の状況を事務局に報告する手続きです。公募要領第8版のP.24〜26にある補助事業者の義務のひとつとして、事業終了1年後の「事業効果等状況報告」の提出が必須であることが明記されています。
事業効果報告とは何か
事業効果報告は、補助事業が終了してから1年後の状況を事務局に報告する手続きです。公募要領第8版のP.24〜26にある補助事業者の義務のひとつとして、事業終了1年後の「事業効果等状況報告」の提出が必須であることが明記されています。使用する書類は様式第14です。
この報告が制度に組み込まれているのは、持続化補助金が設備や広告そのものではなく、販路開拓による売上高・売上総利益の増加を目的にしているためです。補助対象事業の要件には、事業効果報告書の提出時点の売上高・売上総利益が、補助事業終了時と比較して増加が見込める事業であることが含まれています(P.6)。申請段階で様式2に書いた定量的な根拠が、1年後にどうなったかを答える場が事業効果報告です。
この記事で押さえること
- 事業効果報告は補助事業者の義務であり、任意のアンケートではない
- 実績報告(補助金を受け取るための手続き)とはまったく別の手続き
- 未提出だと次回以降の申請が制限される(P.5)
- 賃金引上げ特例を使った場合は賃金の状況もこの報告に含まれる
報告の対象になるのは、補助事業そのものの出来不出来だけではありません。補助事業が終わったあと、その取組が事業として続いているのか、狙った成果につながっているのかが問われます。設備を導入して終わりではなく、導入した設備で売上をどう伸ばしたのかを説明する場だと考えると、報告の準備として何を記録しておくべきかが見えてきます。
なお、事業効果報告は補助金の返還を求めるための手続きではありません。ただし賃金引上げ特例を使った場合は、特例の要件を満たしたかどうかがここで確認されるため、要件未達が交付に影響する可能性があります。この点はあとの章であらためて整理します。
制度全体の流れを先に確認したい場合は持続化補助金2026完全ガイド、申請から入金までの工程は申請の流れの記事をご覧ください。
実績報告と事業効果報告は別の手続き
現場で最も多い混乱が、実績報告と事業効果報告の取り違えです。実績報告は補助金を受け取るために出すもの、事業効果報告は受け取った後に出すものです。時期も目的も提出物も違います。
| 項目 | 実績報告 | 事業効果報告 |
| 目的 | 支出した経費を確定させ、補助金額を確定するため | 事業終了1年後の状況を報告するため |
| 時期 | 補助事業終了後(第20回は2028年4月10日が提出期限) | 補助事業終了のおおむね1年後 |
| おもな内容 | 実施した取組の内容、支出の証憑(見積・発注・納品・請求・支払) | 売上高・売上総利益の状況、賃金引上げ等の状況 |
| 使う書類 | 実績報告書等 | 様式第14(事業効果および賃金引上げ等状況報告書) |
| 出さないと | 交付決定が取り消される(P.24〜26) | 次回以降の申請が制限される(P.5) |
実績報告を出して補助金が入金された時点で、手続きが全部終わったと考えてしまうケースが目立ちます。しかし補助金の入金からさらに1年ほど先に、もうひとつの提出物が待っています。入金のタイミングで社内カレンダーに翌年の予定を入れておくのが確実です。
実績報告の具体的な手順と証憑の揃え方は実績報告の記事、補助金が実際に振り込まれる時期は精算払いと入金の記事で扱っています。
第20回で採択された場合のスケジュール
第20回の日程は公募要領P.3に記載があり、商工会地区の公式サイトの申請ページとも一致しています。事業効果報告の具体的な提出日は交付決定日や事業の終了日によって変わりますが、前後の期限を並べると全体像がつかめます。
| 項目 | 日付 |
| 申請受付開始 | 2026年11月5日 |
| 事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 | 2026年12月4日 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日 17:00 |
| 採択発表 | 2027年3月頃予定(申請数等により変動) |
| 見積書等の提出期限 | 2028年2月29日 |
| 補助事業実施期限 | 2028年3月31日 |
| 実績報告書の提出期限 | 2028年4月10日 |
| 事業効果報告 | 補助事業終了のおおむね1年後(個別の期日は事務局の案内による) |
補助事業実施期間は交付決定日から2028年3月31日までです。事業がそれより早く終了した場合は、終了日から30日以内または上記の期限のいずれか早い方までに実績報告を行います(P.24)。事業を早く終えれば、その分だけ事業効果報告の時期も前倒しになります。
提出期日は個別に通知される
事業効果報告の具体的な提出期日や提出方法は、事務局から案内されます。案内が届くメールアドレスや連絡先は、申請時に登録したものが使われます。担当者の交代や連絡先の変更があった場合は、事務局への届出を忘れないでください。通知を見落としたまま期日を過ぎるのが、最も多い未提出のかたちです。
第20回の日程全体は第20回のスケジュール解説でまとめています。
報告する内容と、そのために残しておく数字
様式第14の正式名称は「事業効果および賃金引上げ等状況報告書」です。名称のとおり、事業の効果と賃金引上げの状況という2つの柱で構成されます。
事業の効果については、補助事業終了時と比べて売上高・売上総利益がどうなったかが中心になります。これは対象事業の要件(P.6)と直接つながっており、申請時に様式2で書いた定量的な根拠に対する答え合わせにあたります。
| 残しておく数字・記録 | いつ集めるか | なぜ必要か |
| 補助事業終了時点の売上高・売上総利益 | 事業終了の決算・試算表 | 比較の基準になるため |
| 報告時点の売上高・売上総利益 | 報告の直前の決算・試算表 | 増加の有無を示すため |
| 従業員1人あたり給与支給総額 | 賃金引上げ特例を使った場合は毎月 | 年平均3.0%以上の増加要件の確認のため |
| 取得財産の写真(納品前後) | 納品時 | 補助事業者の義務として記録が求められるため |
| 関係書類一式 | 事業期間中 | 事業終了後5年間の保存義務があるため |
取得財産については、納品前後の写真記録と「第20回持続化」の表示(シール等)が必要とされています(P.24〜26)。1年後に写真を撮ろうとしても納品前の状態は撮れません。事業の途中で記録しておくことが前提の設計になっている点に注意してください。
売上高と売上総利益は、どの時点の数字を比較するのかで見え方が変わります。補助事業終了時点の数字を基準にするため、事業が終わった月の試算表や決算の数字を確定させ、控えとして残しておくことが重要です。決算期の途中で事業が終わる場合は、月次の試算表を基準として保存しておくと1年後に困りません。
また、関係書類は事業終了後5年間の保存義務があり、会計検査院等の検査対象になります(P.24〜26)。事業効果報告を出したあとも書類は捨てられません。
賃金引上げ特例を使った場合の報告
賃金引上げ特例を使って補助上限を上乗せした場合、事業効果報告は単なる状況報告ではなくなります。特例の要件を満たしたかどうかを示す場になるためです。
賃金引上げ特例は、2027年4月1日から補助事業実施期限日(2028年3月31日)までの期間と、その前年同月の12か月を比較して、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させる事業者が対象です(P.9〜11)。この特例に該当すると補助上限に150万円が上乗せされ、直近1期または直近1年の課税所得金額がゼロ以下の赤字事業者はさらに補助率が3/4になります。
| 項目 | 内容 |
| 比較の対象期間 | 2027年4月1日から2028年3月31日までと、その前年同月の12か月 |
| 必要な増加率 | 従業員1人あたり給与支給総額で年平均3.0%以上 |
| ここでの従業員の定義 | 非常勤を含む。代表者・役員・専従者は除く |
| 上乗せ額 | 補助上限に150万円 |
| 赤字事業者の扱い | 補助率3/4、あわせて赤字賃上げ加点の対象 |
要件未達は上乗せ部分だけの問題では済まない
特例による上乗せは、補助事業終了時点で要件を満たしていなければ交付されません。上乗せ部分だけでなく全体が不交付になる場合があると公募要領に明記されています(P.7〜11)。賃上げは補助事業の一部ではなく、補助金の受給条件そのものだと考えて資金計画を立ててください。
ここでいう従業員の定義は、小規模事業者の要件で使う「常時使用する従業員」とは別の基準です。申請要件の側は日雇いや2か月以内の期間雇用、役員、同居の親族従業員を含みませんが(P.4)、賃金引上げ特例の側は非常勤を含み、代表者・役員・専従者を除きます(P.9〜11)。同じ従業員という言葉でも数え方が違うので、報告のときに取り違えないよう注意します。
特例の詳細は賃金引上げ特例の記事、上限と補助率の関係は補助率・上限の記事で扱っています。
未提出だとどうなるか
事業効果報告を出さないことの影響は、罰金のようなかたちではなく、次の申請機会を失うというかたちで現れます。公募要領P.5の補助対象外となる事業者の1番目が、まさにこの条件です。
| 状態 | 次回以降の申請 | 根拠 |
| 様式第14が未提出 | 補助対象外(申請できない) | P.5 |
| 提出済みだが実施期間終了月の翌月から1年未満 | 申請できない | P.5 |
| 提出済みで1年経過 | 申請できる(他の要件を満たす場合) | P.5 |
| 第20回で採択された場合 | 様式14提出後さらに1年の経過が必要 | P.5 |
対象になるのは、一般型通常枠(第1回から第16回の一般型を含む)、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠、創業型で採択され、補助事業を実施した事業者です。つまり数年前に一度だけ使ったという場合でも、そのときの様式14が未提出なら今回の申請ができません。
心当たりがあるときの確認先
提出したかどうかの記憶があいまいな場合は、当時の担当者の控えやメールを探すほか、地区の商工会・商工会議所や事務局に確認するのが確実です。事務局は商工会地区と商工会議所地区で異なり、公式サイトも別になります。自社がどちらの地区かは、事業を営む場所の市区町村で決まります。
過去採択者が再び申請する場合の条件は再申請の記事で詳しく整理しています。
採択後に生じる義務のなかでの位置づけ
事業効果報告は、採択後に生じる複数の義務のうちの最後にあたるものです。全体像のなかで見ておくと、何をいつまでにやるのかが整理できます。
| 義務 | 内容 | 時期 |
| 見積書等の提出 | 全計上経費の見積書等(相見積を含む)を提出。期限を過ぎると採択取消 | 第20回は2028年2月29日まで |
| 交付決定前の発注禁止 | 交付決定通知前の発注・契約・支出はすべて対象外 | 交付決定まで |
| 変更の事前承認 | 内容変更・中止・廃止は事前承認が必要。計画にない新規費目の追加は原則不可 | 事業期間中 |
| 実績報告書の提出 | 期日内提出が必須。未提出は交付決定取消 | 第20回は2028年4月10日まで |
| 処分制限財産の管理 | 単価50万円以上の機械装置等、50万円以上のウェブサイト・システム、店舗改装等は取得日から通常5年間、処分に事務局の承認が必要 | 取得後5年間 |
| 関係書類の保存 | 事業終了後5年間保存。会計検査院等の検査対象 | 事業終了後5年間 |
| 事業効果等状況報告 | 様式第14の提出。未提出者・提出後1年未経過者は次回以降申請制限 | 事業終了のおおむね1年後 |
あわせて、補助金は事業年度の収益として計上され課税対象になる点、交付申請額は消費税等仕入控除税額を減額して申請する点も、資金計画に影響します(P.24〜26)。
処分制限財産の扱いは取得財産の処分制限の記事、計画を変えたくなったときの手続きは計画変更承認の記事で扱っています。
報告に備えて事業中からできること
事業効果報告でつまずくのは、書き方が難しいからではなく、書くための材料が手元にないからです。以下は事業の各段階で残しておきたいものです。
| 段階 | やっておくこと |
| 交付決定の直後 | 実績報告と事業効果報告の想定時期を社内カレンダーに入れる。連絡先の登録内容を確認する |
| 発注・納品時 | 取得財産の納品前後の写真を撮る。第20回持続化の表示を付ける |
| 事業期間中 | 見積・発注・納品・請求・支払の証憑を一式で保管する。支払いは銀行振込を原則にする |
| 事業終了時 | 終了時点の売上高・売上総利益を数字で確定させておく |
| 実績報告の提出時 | 提出物一式を控えとして保存し、5年間の保存期間の起算点を記録する |
| 報告の1年間 | 売上の推移を定期的に確認する。賃金引上げ特例を使った場合は給与支給総額を毎月記録する |
支払いは銀行振込が原則で、1取引10万円(税抜)を超える現金払いはできません。小切手・手形・相殺による決済も認められていません(P.11〜21)。証憑の形を整えておくことは、実績報告だけでなく、5年間の保存義務と検査への備えにもなります。
次の申請の材料にもなる
事業効果報告でまとめた数字は、次に再申請するときに「前回の事業で何が達成できたか」を語る材料になります。過去採択者の再申請では、前回と明確に異なる新たな事業であることが審査されるため、前回の総括を自分の言葉で語れることが計画の説得力につながります。
1年後に説明できる計画を申請段階から設計する
事業効果報告を楽にする最大の方法は、申請の段階で1年後に説明できる計画を作っておくことです。対象事業の要件には、事業効果報告書の提出時点の売上高・売上総利益が補助事業終了時と比較して増加が見込める事業であることが含まれており(P.6)、様式2にはその定量的な根拠を記載します。ここで書いた根拠が、そのまま1年後に答える問いになります。
逆にいえば、申請の段階で根拠のない数字を並べてしまうと、1年後に自分で説明できない報告を書くことになります。実現の見込みが立つ範囲で、どの顧客層にどの手段で届けるからいくら増えるのか、という筋道を書いておくほうが、結果として報告の負担は軽くなります。
| 申請時に書くこと(様式2) | 1年後に問われること | そのために必要な記録 |
| 販路開拓の対象とする顧客層 | その顧客層に実際に届いたか | 新規顧客数、問い合わせ経路の記録 |
| 売上高の増加見込みと根拠 | 売上高が増えたか | 事業終了時と報告時点の売上高 |
| 売上総利益の増加見込みと根拠 | 売上総利益が増えたか | 原価を含む損益の推移 |
| 取得する資産の継続活用 | 取得した設備等を使い続けているか | 納品前後の写真、稼働の記録 |
| 賃金引上げ特例を選ぶ場合の目標 | 年平均3.0%以上の増加を達成したか | 従業員1人あたり給与支給総額の月次記録 |
計画審査でも、補助事業計画の有効性として客観的な根拠、実現可能性、デジタル活用、取得資産の継続活用といった観点が見られます(P.32〜41)。申請で評価される観点と、1年後に報告する内容は、もともと同じものを別の時点から見ているにすぎません。
記録の担当を決めておく
小規模事業者の場合、申請時に関わった人と1年後に報告を書く人が同じとは限りません。誰がどの数字を集めるのかを決め、保存場所を共有しておくと、担当が替わっても報告が止まりません。連絡先の登録内容も、退職や部署変更のたびに見直しておくと通知の見落としを防げます。
よくある誤解
事業効果報告をめぐって、現場でよく見かける誤解を整理します。
| よくある誤解 | 実際 |
| 補助金が入金されたら手続きは終わり | 入金の後に事業効果報告が残っている(P.24〜26) |
| 実績報告を出したので効果報告は不要 | 別の手続き。どちらも提出が必要 |
| 売上が伸びなかったら出さないほうがよい | 提出そのものが義務。未提出だと次回以降の申請が制限される(P.5) |
| 任意のアンケートだと思っていた | 補助事業者の義務として要領に明記されている |
| 報告が終われば書類は処分してよい | 関係書類は事業終了後5年間の保存義務がある |
| 賃上げは努力目標だと思っていた | 賃金引上げ特例を使った場合は受給の条件。未達だと全体が不交付になる場合がある(P.7〜11) |
売上が計画どおりに伸びなかった場合でも、報告しないという選択肢はありません。むしろ未提出のままにすると、次に申請したいときに補助対象者から外れてしまいます。結果がどうであれ期日までに提出することが、次の機会を残す唯一の方法です。
なお、申請時の様式2では売上高・売上総利益の増加について定量的な根拠を書くことが求められます(P.6)。実現できる根拠のある数字を書いておくことが、1年後の報告を楽にします。計画の書き方は事業計画書の書き方を参考にしてください。
相談先と確認方法
事業効果報告の具体的な様式や提出方法は事務局から案内されます。事務局は地区によって異なるため、自社がどちらの地区かをまず確認します。判定の基準は、事業を営む場所の市区町村です。本社の登記地ではありません。
| 区分 | おもな該当地域 | 事務局 | 公式サイト |
| 商工会地区 | おもに町村 | 株式会社ニューズベース/全国商工会連合会/各地商工会 | official.jizokukanb.com |
| 商工会議所地区 | おもに市 | 株式会社日本経営データ・センター/日本商工会議所/各地商工会議所 | r6.jizokukahojokin.info |
市区町村によっては両方が混在する地域もあります。どちらか分からない場合は、地域の商工会または商工会議所に問い合わせてください(表紙・P.1、および第19回よくあるご質問 Q1-7を参考情報として参照)。
補助事業の期間中に相談した窓口は、事業効果報告の時期にも相談先になります。様式4を発行してもらった商工会・商工会議所には自社の計画の経緯が残っているため、数字の整理の仕方を相談しやすい相手です。地区の違いと窓口の探し方は商工会と商工会議所の違いにまとめています。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。本記事は第20回公募 公募要領 第8版の内容にもとづいています。事業効果報告の具体的な提出期日・様式・提出方法は事務局からの案内に従ってください。日程・要件・金額は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事の内容は採択や補助額を保証するものではありません。