持続化補助金でECサイト構築|上限30万円・単独申請不可の注意点
申請実務
公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
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この記事の結論
小規模事業者持続化補助金の一般型 通常枠で補助対象になる経費は8区分に限られます。①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費で、これ以外は対象外です(公募要領第8版 P.11)。
ECサイトはウェブサイト関連費で計上する
小規模事業者持続化補助金の一般型 通常枠で補助対象になる経費は8区分に限られます。①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦借料、⑧委託・外注費で、これ以外は対象外です(公募要領第8版 P.11)。
ECサイトが入るのは③ウェブサイト関連費です。要領はこの区分を、販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費と定義しています(P.14)。制作会社への外注であっても、ウェブサイトやシステム開発に係る委託・外注費は⑧ではなく③で計上するよう明記されています(P.17)。区分を間違えると積算のやり直しになります。
ここでいうウェブサイト関連費には、ネットショップの構築だけでなく、顧客管理システムの構築、アプリケーション開発、業務効率化のためのソフトウェアなども含まれます。
第20回で変わった点
- ウェブサイト関連費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)という定額です(P.14)
- 広報費も同じく上限30万円(税込)です(P.13)
- 第19回までの「補助金交付申請額の1/4」という按分の説明は第20回には当てはまりません
- ウェブサイト関連費のみによる申請はできません(P.14)
制度全体の上限額や日程を先に確認したい場合は持続化補助金2026完全ガイドを、ホームページ制作全般の扱いはホームページ作成費の扱いをあわせて参照してください。
上限30万円(税込)はどこにかかるのか
要領の表現は「当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です」です(P.14)。上限がかかるのは支払った経費ではなく、その区分について申請する補助金の額です。補助率2/3で計算すると、ウェブサイト関連費として計上できる経費が45万円(税込)を超えた時点で、補助金の側は30万円で頭打ちになります。
| ウェブサイト関連費の経費額(税込) | 2/3で計算した額 | この区分の補助金交付申請額 |
| 15万円 | 10万円 | 10万円 |
| 30万円 | 20万円 | 20万円 |
| 45万円 | 30万円 | 30万円(上限に到達) |
| 60万円 | 40万円 | 30万円(上限で頭打ち) |
| 100万円 | 約66.6万円 | 30万円(上限で頭打ち) |
この表はモデルケースであり、採択や補助額を保証するものではありません。実際の交付額は交付決定と実績報告の内容で確定します。
読み取れるのは、100万円かけて本格的なECサイトを作っても、この区分から出る補助金は30万円までだということです。予算の大半をEC構築に充てる計画では、補助率2/3という印象よりも実際の補助割合は小さくなります。全体の補助上限は基本50万円、インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方に該当すると最大250万円です(P.7〜11)。上限の枠を使い切りたい場合は、ウェブ以外の区分にも取組を広げる設計が必要になります。
広報費とウェブサイト関連費は別枠の30万円
広報費の上限30万円(税込)とウェブサイト関連費の上限30万円(税込)は、それぞれの区分にかかる別々の上限です(P.13、P.14)。ただし、自社ホームページやECサイトで使用する動画や写真の制作費用等は、広報費ではなく③ウェブサイト関連費で計上するよう指定されています(P.13)。撮影費をどちらに入れるかで枠の消費先が変わるため、積算の前に確認してください。
ウェブサイト関連費だけでは申請できない
要領は、ウェブサイト関連費のみによる申請はできません、必ずほかの経費と一緒に申請してください、と明記しています(P.14)。広報費も同様の扱いです(P.13)。つまり「ECサイトを作るためだけに持続化補助金を使う」という計画は形式として成り立ちません。
この制約は、制度の目的が販路開拓等の取組全体の支援にあることから来ています。ECという販売チャネルをつくることと、そこに商品を載せて売れる状態にすることは別の作業です。後者に必要な取組を同じ計画に組み込むと、単独申請不可の条件を満たしながら計画の説得力も上がります。
| 組み合わせる取組 | 区分 | 計画上の位置づけ |
| 商品撮影のスタジオ機材、梱包作業の効率化機器 | ①機械装置等費 | 出品点数を増やす、発送のリードタイムを短くする |
| ネットショップ開設を告知するチラシ、DM発送、SNS広告 | ②広報費 | 開設しても知られなければ売れない部分を埋める(上限30万円・税込) |
| 展示会・商談会への出展でバイヤーに知ってもらう | ④展示会等出展費 | EC単体ではなく卸の販路も同時に開く |
| EC向けの新しい包装パッケージの試作・デザイン | ⑥新商品開発費 | 配送に耐える形状や開封体験を設計する |
| 店舗のバックヤード改装で出荷作業スペースを確保 | ⑧委託・外注費 | 業務効率化の取組として様式2に記載する |
それぞれの区分の詳しい範囲は対象経費8区分の一覧で確認できます。展示会と組み合わせる場合は展示会出展費の解説、パッケージ開発を組み合わせる場合は新商品開発費の解説も参考になります。
対象になるEC関連の経費
要領がウェブサイト関連費の対象となる経費例として挙げているものを、EC構築の場面に当てはめて整理します(P.14〜15)。
| 対象となる経費例(P.14〜15) | ECでの当てはめ |
| 商品販売のためのウェブサイト作成や更新 | ネットショップの新規構築、既存サイトへのカート機能追加 |
| オフライン含むシステム開発 | 在庫連携、受注処理の仕組みづくり |
| 顧客管理システムの構築 | 購入履歴にもとづく再購入の促進 |
| アプリケーション開発 | 自社アプリからの購入導線 |
| 業務効率化のためのソフトウェア | 受注から出荷までの作業を減らすツール |
| 販路開拓等のための特定業務用ソフトウェア | 設計用3次元CADソフト、販促活動に役立てる顧客管理ソフト等が例示。POSソフトは補助事業計画の「Ⅰ.補助事業の内容」の3.業務効率化(生産性向上)の取組内容に記載した場合に限る |
| 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策 | 施策内容と成果物が説明できることが前提 |
| 商品販売のためのウェブサイトに掲載する宣材写真の制作費用 | 商品撮影の外注費 |
| ウェブサイトに掲載する商品・サービスを販売するための画像や動画作成費用 | 商品説明用の動画制作 |
なお、契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権を購入する場合は、按分等の方式により算出された補助事業期間分のみが補助対象になります(P.14)。年額契約のカートシステムやサブスクリプション型のサービスを使う場合は、期間の重なりを計算して計上します。
対象外になるEC関連の費用
対象とならない経費例には、ECの計画で計上しがちなものが並んでいます(P.14〜15)。とくにコンサルティング費用と、販売そのものを目的としたシステムは注意が必要です。
| 対象とならない経費例(P.14〜15) | 補足 |
| ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用 | 制作ではなく助言に対する対価は対象外 |
| 電子書籍の出版に係る費用 | 新商品開発費でも対象外と明記 |
| 販売を目的としたシステムやソフトウェア開発 | 新商品開発費でも対象外。自社で使うのではなく売るために作るもの |
| 家庭および一般事務用ソフトウェア | 汎用的な事務ソフトは対象外 |
| 既に導入しているソフトウェアの更新料 | 継続利用のための更新は対象外 |
| 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ | 公開まで到達しないと対象外 |
| 有料配信する動画の制作費 | 販売目的のコンテンツ |
| 有料の講座で使用する動画や電子教材の作成 | 塾・教室等の有料教材の制作費用は共通の対象外にも記載(P.19) |
| ウェブサイトに使用する画像等における被写体や商品(紹介物等を含む)の購入に係る費用 | 撮影のために買った商品そのものは対象外 |
ECならではの対象外
8区分に共通する対象外経費(P.18〜20)の中にも、ECの運営で発生しやすいものがあります。売れば売るほどかかる費用は、基本的に補助の対象になりません。
| 費用 | 扱い | 根拠 |
| インターネットショッピング決済手数料、代引手数料、振込手数料 | 対象外 | P.19 |
| 売上高や販売数量、契約数等に応じて課金される経費、成功報酬型の費用 | 対象外 | P.19 |
| 電話代、インターネット利用料金等の通信費 | 対象外 | P.19 |
| 段ボール、梱包材、テープ類などの消耗品 | 対象外 | P.19 |
| 販売している商品の仕入 | 対象外(通常の事業活動に係る経費) | P.18 |
| クラウドファンディングで発生しうる手数料(返礼品、特典等を含む) | 対象外 | P.19 |
| レンタル事業を営む事業者がレンタル機材を購入する費用 | 対象外 | P.19 |
| 他社の商品を宣伝するためのHP制作費 | 対象外(他社のために実施する経費) | P.19 |
モール型のサービスを使う場合、初期構築費と月額のシステム利用料、販売手数料は性質が異なります。販売手数料のように売上に連動する部分は対象外です。見積の段階で費目を分けてもらってください。対象外の整理は対象外になる経費でも扱っています。
公開して使うところまでが補助事業
ECサイトの申請で最も多い誤解は、補助事業期間内に支払いが終わっていればよい、というものです。要領は、補助事業期間中に発注や引き渡し、支払等があっても、実際の事業取組が補助対象期間外であれば当該経費は補助対象外になると定めています(P.20)。
具体例として、ホームページで受注システムを作成したものの、補助事業終了までにホームページで公開して販路開拓の取組を行っていない場合は当該経費が補助対象外になる、と明記されています(P.20)。対象とならない経費例にも、補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページが挙がっています(P.15)。
制作の遅れがそのまま対象外につながります
ECサイトは、商品登録、写真の差し替え、決済の審査、配送設定など、制作会社の作業が終わってからも事業者側の作業が残ります。公開が補助事業期間の最終盤にずれ込むと、公開して販路開拓の取組を行ったという実績が残せません。第20回の補助事業実施期限は2028年3月31日、実績報告書の提出期限は2028年4月10日です(P.3、P.24)。公開日から逆算して、余裕を持った工程を組んでください。
実績報告では、事業実施内容の確認のために必要な証憑(成果物の写真、業務完了報告書、その他事務局が事業実態の確認のために提出を求めるもの)を用意できないものは対象外とされています(P.19)。公開後のサイト画面、注文が入ったことが分かる画面など、運用に至ったことを示す資料を残しておきます。
50万円以上のサイトは処分制限財産になる
ウェブサイトおよびシステムを50万円(税抜)以上の費用で作成・更新する場合、当該ウェブサイトおよびシステムは処分制限財産に該当し、補助事業が終了して補助金の支払を受けた後であっても、一定の期間(通常は取得日から5年間)において処分が制限されることがあります(P.14)。処分とは、補助事業目的外での使用、譲渡、担保提供、廃棄等を指します。
| 行為 | 扱い |
| 補助金の交付を受けた補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化 | 事務局への事前承認申請等が必要となる処分には該当しない(P.14) |
| サイトの廃止、他者への譲渡、目的外での使用 | 処分に該当。事前に事務局へ承認を申請し、承認を受けた後でなければ処分できない(P.14) |
| 承認を得ずに処分した場合 | 交付規程違反により補助金交付取消・返還命令(加算金付き)の対象(P.14) |
承認を受けて処分する場合でも、事務局は残存簿価等から算出される金額の返還のため、交付した補助金の全部または一部に相当する金額を納付させることがあります(P.14)。ECの構築は数年後のリニューアルが前提になりやすい投資です。改良や機能強化は処分に当たらないと明記されている一方、閉鎖や譲渡は承認が必要になります。取得財産の処分制限もあわせて確認してください。
電子商取引で必要になる証憑
ECの構築・運用では、ネット上で完結する取引が増えます。要領には電子商取引についての項目があり、証拠資料等によって支払い金額が確認できる経費のみが対象になると定められています(P.21)。
取引相手先によく確認し、補助金で求められる、仕様提示、見積、発注、納品、検収、請求、支払という流れで調達を行い、適切な経理処理の証拠となる書類(取引画面の写し等)を整理・保存・提出ができることを把握してから取引をするよう求められています。実際に経費支出を行っていたとしても、取引相手先の都合等により、発注した日が確認できる取引画面を提出できない、補助対象経費として計上する取引分の請求額が判明する書類が提出できない、広告が確認できるインターネット画面が取得できない等の場合には対象外になります(P.21)。
| 場面 | 残しておく資料 |
| 制作会社への発注 | 仕様書、見積書、発注書・契約書、納品書、検収の記録、請求書、振込控 |
| オンラインでのサービス契約 | 申込日が分かる取引画面の写し、契約内容と期間が分かる画面、請求額が分かる明細 |
| インターネット広告 | 広告が掲載されたことが確認できる画面、期間と金額が分かる明細 |
| 電子マネーでの支払い | 補助事業者からの支出であることが分かる資料と、一連の経理処理の証拠書類 |
| クレジットカード払い | 申請事業者名義であること、補助事業期間内に金融機関等から引き落としが完了していることが分かる資料 |
代表者や従業員が個人のクレジットカードで支払いを行った場合は、立替払いとして帳簿等で確認ができないと対象外になります(P.21)。ドメイン代やサービス利用料を個人名義のカードで決済している事業者は多いので、申請前に支払い名義を整理しておくと安全です。関係書類は事業終了後5年間の保存義務があります。
審査に耐えるEC計画の書き方
計画審査では、自社の経営状況分析の妥当性、経営方針・目標とプランの適切性、補助事業計画の有効性、積算の透明・適切性が評価されます。補助事業計画の有効性の観点には、客観的根拠、実現可能性、デジタル活用、資産の継続活用が挙げられています(P.32〜41)。ECは扱いやすいテーマである一方、ありふれた計画になりやすい領域でもあります。
| 観点 | 書き方の方向 |
| 誰に売るのか | 既存客の再購入か、商圏外の新規客か。対象を絞って書く |
| 何を売るのか | 店頭の全商品ではなく、配送に向く商品、単価と原価が合う商品に絞る根拠を示す |
| どう知ってもらうのか | 広報費やSNS広告など、集客の取組と組み合わせる(単独申請不可の要件も満たす) |
| 運用体制 | 誰が商品登録と発送を担うのか。作業時間の見込みを書く |
| 売上・売上総利益の見込み | 事業効果報告書の提出時点で増加が見込める事業であることが対象事業の要件(P.6) |
| 積算の透明性 | 構築費、撮影費、広告費を分けて内訳を示す。内訳が不明な経費は対象外(P.19) |
要領は、補助事業終了後おおむね1年以内に売上げにつながる見込みがない事業を対象外の例として挙げています(P.7)。作って終わりではなく、運用して売上に結びつくところまでを計画に書くことが求められます。様式2の構成に沿った書き方は事業計画書の書き方で解説しています。
第20回のスケジュールと進め方
第20回の日程は、申請受付開始が2026年11月5日、事業支援計画書(様式4)の発行受付締切が2026年12月4日、申請受付締切が2026年12月15日17時です。採択発表は2027年3月頃の予定で、見積書等の提出期限は2028年2月29日、補助事業の実施期限は2028年3月31日、実績報告書の提出期限は2028年4月10日です(P.3、P.24)。
| 段階 | やること | ECでの注意点 |
| 1. 要件確認 | 単独申請にならないよう他区分の取組を決める | ウェブサイト関連費のみの申請は不可(P.14) |
| 2. 見積取得 | 制作会社から内訳の分かる見積を取る | 50万円超(税込)は2者以上の見積が必要(P.21) |
| 3. 積算 | 区分ごとに振り分け、上限30万円(税込)を踏まえて配分 | 撮影費はウェブサイト関連費で計上(P.13) |
| 4. GビズID | GビズIDプライムまたはメンバーを取得 | 取得に時間がかかるため早めに着手(P.22) |
| 5. 様式2・様式3 | 経営計画と補助事業計画を作成 | POSソフト等は業務効率化の欄への記載が条件になる場合がある |
| 6. 様式4 | 商工会・商工会議所に発行を依頼 | 発行受付締切は2026年12月4日。過ぎると発行不可 |
| 7. 申請 | 電子申請システムで提出 | 郵送は不可。締切は2026年12月15日17時 |
| 8. 交付決定 | 見積書等を提出し交付決定を受ける | 交付決定前の発注・契約・支払は対象外(P.18〜19) |
| 9. 制作・公開 | 交付決定後に着手し、期間内に公開して運用 | 運用に至らなかったサイトは対象外(P.15、P.20) |
| 10. 実績報告 | 2028年4月10日までに提出 | 公開画面、受注の記録、成果物が分かる資料を残す |
日程の逆算の考え方は第20回のスケジュール解説に、ネットショップ運営者向けの使い方はネットショップの持続化補助金にまとめています。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。本記事は第20回公募 公募要領 第8版の内容にもとづいています。日程・要件・金額は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事の計算例はモデルケースであり、採択や補助額を保証するものではありません。個別の経費が対象になるかどうかは、地域の商工会・商工会議所および補助金事務局にご確認ください。