持続化補助金の計画変更承認|事前承認が必要な場面
申請実務
公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
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この記事の結論
持続化補助金では、採択されて交付決定を受けた後も、事業を進めるなかで計画どおりにいかないことがあります。仕入先の都合で機種が変わる、見積額が上下する、想定していた工事の範囲が変わる、といった変化です。
交付決定後の計画は動かせるが、事前承認が要る
持続化補助金では、採択されて交付決定を受けた後も、事業を進めるなかで計画どおりにいかないことがあります。仕入先の都合で機種が変わる、見積額が上下する、想定していた工事の範囲が変わる、といった変化です。
公募要領第8版のP.24〜26では、補助事業者の義務として、補助事業の内容変更・中止・廃止には事前承認が必要であること、そして原則として計画にない新規費目の追加は不可であることが記載されています。つまり計画はまったく動かせないわけではありませんが、動かすには先に承認を得るという順番が決まっています。
この記事の要点
- 内容変更・中止・廃止は事前承認が必要(P.24〜26)
- 計画にない新規費目の追加は原則不可
- 交付決定通知前の発注・契約・支出はすべて対象外
- 具体的な様式や提出方法は事務局からの案内に従う
変更承認という言葉に身構える必要はありません。制度が求めているのは、補助の対象になった事業がその趣旨のまま実行されることです。販路開拓のどの課題に対する取組なのかという骨格が変わらず、手段や仕様だけが現実に合わせて動くのであれば、相談のうえで進められる余地があります。逆に、骨格そのものが別の事業に置き換わるような変更は、そもそも承認の枠組みでは扱えません。
この記事で扱うのは、あくまで公募要領に記載されている範囲の考え方です。変更承認の具体的な様式名や提出先は事務局から案内されます。事務局は商工会地区と商工会議所地区で異なるため、自社の地区を確認したうえで問い合わせてください。制度全体の流れは持続化補助金2026完全ガイド、採択から入金までの工程は申請の流れの記事で扱っています。
なぜ事前承認という仕組みがあるのか
補助金は、申請書に書かれた事業の内容と経費に対して交付が決まります。採択審査では、経営状況分析の妥当性、経営方針と目標の適切性、補助事業計画の有効性、積算の透明性と適切性といった観点で計画が評価されています(P.32〜41)。評価の対象になった計画が事後に別のものに置き換わると、審査を経ていない事業に補助金が出ることになってしまいます。
もうひとつの理由が、経費の性格です。対象になるのは交付決定日以降に発生し、補助事業期間内に支払いが完了した経費だけです(P.11〜21)。支出の前に内容が確定していることが前提になっているため、支出の中身が変わるなら支出の前に承認を得る、という順番になります。
| 段階 | できること | できないこと |
| 申請から採択発表まで | 計画の内容は申請時点で確定させる | 採択通知だけでは事業に着手できない |
| 採択から交付決定まで | 全計上経費の見積書等(相見積を含む)を提出する | 交付決定通知前の発注・契約・支出はすべて対象外 |
| 交付決定後、事業期間中 | 承認を得たうえでの内容変更・中止・廃止 | 承認を得ない変更、原則として計画にない新規費目の追加 |
| 実績報告以降 | 報告内容の照会に対応する | すでに終わった支出をさかのぼって変更する |
もうひとつ押さえておきたいのが、採択と交付決定の違いです。採択は審査を通ったという結果であり、交付決定は提出した見積等を踏まえて補助金の交付が正式に決まる手続きです。採択の段階ではまだ経費の内容が確定していないため、この間に発注してしまうと、確定していない内容に対して支出したことになってしまいます。順番が決まっているのはそのためです。
交付決定前の発注が対象外になる点は、変更の話と並んで最も多い失敗です。採択の通知を受け取ると気持ちが先に動きますが、そこから見積書等の提出と審査を経て交付決定に至ります。交付決定は採択発表からおおむね1か月から2か月かかります(P.3、P.24)。詳しくは交付決定前の発注の記事で扱っています。
事前承認が必要になる典型的な場面
公募要領は内容変更・中止・廃止と記載しています。実務では次のような場面がこれにあたる可能性があります。いずれも自己判断せず、事前に事務局へ相談するのが原則です。
| 起きたこと | 考えられる扱い |
| 予定していた機種が廃番になり、別機種に変える | 補助事業の内容変更にあたる可能性がある |
| 工事の範囲を広げる、あるいは縮める | 内容変更にあたる可能性がある |
| 見積額が大きく上がった、下がった | 経費の内容が変わるため事前に相談する |
| 発注先を別の業者に変える | 相見積の要否を含めて事前に相談する |
| 計画していた取組の一部をやめる | 中止・廃止にあたる可能性がある |
| 事業そのものを取りやめる | 廃止にあたる。事前承認が必要 |
| 店舗を移転する、閉店する | 内容変更や廃止にあたる可能性がある。処分制限財産がある場合は別途の確認も必要 |
| 計画になかった経費を追加したい | 原則として新規費目の追加は不可 |
迷ったら発注の前に聞く
変更にあたるかどうかの線引きは、個別の事情によって変わります。自分で「これは軽微だから大丈夫だろう」と判断して発注してしまうと、後から対象外と判断されたときに取り返しがつきません。判断に迷う変化があったら、発注や契約の前に事務局や窓口へ確認するのが結果的にいちばん早い進め方です。
表に挙げた場面のうち、判断がとくに割れやすいのが金額の増減と発注先の変更です。値上がりで見積額が上がった、あるいは値下がりで下がったというだけなら軽微に見えますが、補助金の交付額の根拠が変わることには違いありません。発注先を変える場合も、相見積の要件を満たしているかどうかが改めて問題になります。いずれも、発注や契約を結ぶ前に相談しておけば選択肢が残ります。
店舗を移転する場合や設備を入れ替える場合は、処分制限財産の扱いも関係します。単価50万円以上の機械装置等、50万円以上のウェブサイト・システム、店舗改装等は取得日から通常5年間、処分に事務局の承認が必要です(P.24〜26)。詳しくは取得財産の処分制限の記事をご覧ください。
計画にない新規費目の追加は原則できない
公募要領には、原則として計画にない新規費目の追加は不可と記載されています(P.24〜26)。ここでいう費目は、対象経費の8区分のことです。申請時に計上していなかった区分の経費を後から足す、という形は想定されていません。
| 区分 | おもな内容 |
| 機械装置等費 | 販路開拓や業務効率化のための機械装置等。単価50万円(税抜)以上は処分制限財産。取替え更新のみは対象外 |
| 広報費 | 上限30万円(税込)。この区分だけの単独申請は不可。単なる会社PRや求人広告は対象外 |
| ウェブサイト関連費 | 上限30万円(税込)。単独申請は不可。コンサル・アドバイス費用や電子書籍出版費は対象外 |
| 展示会等出展費 | オンライン展示会・商談会を含む。レンタカー代・ガソリン代・駐車場代は対象外 |
| 旅費 | 国の旅費支給基準に準拠。日当・タクシー代・高速代・付加料金は対象外 |
| 新商品開発費 | 試作の原材料費やデザイン費。テストマーケティングの内容と結果の記載が必須 |
| 借料 | 事務所家賃は原則対象外。新規賃借の場合のみ対象化の可能性があり床面積按分の資料が必要 |
| 委託・外注費 | 店舗改装等を含む。自社役員・従業員・3親等以内の親族への発注、フランチャイズ本部との取引は対象外。応募書類作成費も対象外 |
この制約があるため、申請の段階で計画の幅をどこまで持たせるかが実務上の勘所になります。取組の趣旨に必要な区分をあらかじめ計上しておけば、金額の増減や仕様の変更は変更承認の相談で対応できる余地が残ります。一方、思いついた区分をやみくもに並べると積算の透明性と適切性で評価が下がり、そもそも採択されにくくなります。
区分の当てはめを間違えると、後から直すことが難しくなります。たとえばホームページ制作、システム開発、POSソフト、顧客管理ソフトはすべてウェブサイト関連費であり、委託・外注費や機械装置等費ではありません(第19回よくあるご質問。参考情報)。経費区分の間違いの記事で当てはめ方を確認してください。
変更を考えるときに効いてくる期限
変更の相談は、いつでもできるわけではありません。第20回の場合、次の期限が変更の余地を実質的に決めます。
| 項目 | 日付 | 変更との関係 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日 17:00 | ここまでに提出した計画が審査の対象になる |
| 採択発表 | 2027年3月頃予定 | 採択通知だけでは着手できない |
| 見積書等の提出期限 | 2028年2月29日 | 過ぎると採択取消。経費の内容はここまでに固める必要がある |
| 補助事業実施期限 | 2028年3月31日 | この日までに事業が終わっていること |
| 実績報告書の提出期限 | 2028年4月10日 | 未提出は交付決定取消 |
見積書等の提出期限を過ぎると採択取消になります(P.24〜26)。経費の内容を動かす相談は、この期限より前に終わらせておくのが現実的です。また、補助事業実施期間は交付決定日から2028年3月31日までで、事業がそれより早く終了した場合は終了日から30日以内または上記の期限のいずれか早い方までに実績報告を行います(P.24)。
期限直前の変更相談は間に合わない
承認には事務局の確認と判断の時間がかかります。実施期限の直前に相談しても、承認を得てから発注し、納品を受け、支払いを完了し、実績報告まで済ませる時間が残りません。支出は補助事業期間内に支払いまで完了している必要があります(P.11〜21)。変更の兆しが見えた時点で相談するのが唯一の対処です。
日程の全体像は第20回のスケジュール解説で確認できます。
相談から承認までの進め方
変更承認の具体的な様式や提出方法は事務局から案内されます。ここでは、相談をスムーズに進めるために手元に用意しておきたいものを整理します。
| 用意するもの | なぜ必要か |
| 交付決定通知書 | 交付決定の内容と日付を示すため |
| 申請時の様式2・様式3の控え | もとの計画と経費の内容を照らすため |
| 提出済みの見積書 | もとの積算を確認するため |
| 新しい見積書 | 変更後の金額と内容を示すため |
| 変更が必要になった理由の説明 | 事業の趣旨が変わっていないことを示すため |
| 変更後のスケジュール | 補助事業実施期限内に終わることを示すため |
資料を揃えるときは、もとの計画と変更後を並べて見比べられる形にしておくと伝わりやすくなります。どの経費区分のどの項目が、いくらからいくらに、どういう理由で変わるのか。これが1枚で分かる形になっていれば、口頭の説明が長くならずに済みます。
相談で最も大事なのは、事業の趣旨が変わっていないことを説明できるかどうかです。販路開拓のどの課題に対する取組なのか、その狙いは申請時と同じか、手段だけが変わるのか。ここが整理できていれば、話が早く進みます。
説明の順番も工夫の余地があります。まず変更後の姿を述べるのではなく、当初の計画で何を狙っていたのかを確認してから、その狙いを保つためにこの部分を変えたい、という順で話すと趣旨が伝わります。手段が先に立つ説明になると、別の事業に見えてしまうことがあります。
あわせて、様式4を発行してもらった商工会・商工会議所も相談先になります。対象事業の要件として、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であることが定められており(P.6)、事業の期間中も伴走してもらう関係が続きます。窓口には自社の計画の経緯が残っているため、変更の相談もしやすい相手です。
やってはいけない事後処理
承認の仕組みを知らずに進めてしまい、後から相談に来るケースがあります。次のような対応は、対象外や不正の判断につながります。
| やってはいけないこと | なぜ問題か |
| 承認を得ないまま別の物を発注する | 内容変更には事前承認が必要(P.24〜26) |
| 交付決定の前に発注や契約を済ませる | 交付決定通知前の発注・契約・支出はすべて対象外 |
| 計画になかった経費を実績報告で足す | 原則として計画にない新規費目の追加は不可 |
| 納品されていない物を納品されたことにする | 公式サイトが不正受給の例として明示している |
| 実施しなかった広報を実施したことにする | 同上 |
| 同じ内容で国の他の補助金からも受給する | 同上。重複受給は不正 |
| 内訳を一式とだけ書いて実態を曖昧にする | 内訳不明な経費は対象外になりうる |
不正と判断された場合の処分
不正が発覚した場合は交付決定の取消、加算金を付した返還命令、不正内容の公表に加え、補助金適正化法により5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。計画どおりにいかないこと自体は問題ではありません。問題になるのは、実態と異なる報告で辻褄を合わせようとすることです。
もうひとつ避けたいのが、判断を先延ばしにすることです。納期が間に合わないかもしれない、見積が上がりそうだといった兆しが見えた段階で相談すれば、仕様を見直す、発注先を変える、範囲を縮めるといった選択肢が残ります。期限が迫ってから持ち込むと、取れる手段が中止か廃止しか残っていない、という事態になりかねません。
計画がうまく進まないときの正しい対処は、実態を伝えて承認を得ること、あるいは中止・廃止の手続きを取ることです。事業が計画どおり進まなかったという結果よりも、手続きを飛ばしたという事実のほうが重く扱われます。
変更に強い計画を申請段階で作る
変更承認の手間を最小にする最善の方法は、申請の段階で現実的な計画を作っておくことです。以下は、変更が必要になりやすい典型と、その予防策です。
| 変更が必要になりやすい原因 | 申請段階での予防策 |
| 納期が読めない設備を選んでいる | 補助事業実施期限までに納品と支払いが完了するか業者に確認する |
| 見積が概算のまま計上されている | 内訳を具体化し、一式のような記載を避ける |
| 発注先が1社しか想定できていない | 発注総額50万円(税込)超は2者以上の見積が必要な点を織り込む |
| 取組の範囲が広すぎる | 販路開拓の狙いに直結する範囲に絞る |
| 季節や天候に左右される工事を含む | 余裕を持った工程にする |
| 担当者が1人に依存している | 計画と証憑の保管場所を社内で共有する |
納期の確認は見落とされやすい観点です。交付決定が採択発表からおおむね1か月から2か月かかることを踏まえると、実際に発注できるのは採択発表から数か月後になります。そこから納品と支払いを補助事業実施期限までに終える必要があるため、納期の長い設備ほど早い段階で業者に確認しておく価値があります。
とくに見積の具体性は、変更の要否そのものを減らします。内訳が具体的であれば、数量や仕様の小さな差がどこに当たるのかが明確になり、相談するときも説明が短く済みます。逆に一式でまとめた見積は、何がどう変わったのかを説明できず、対象外と判断されるリスクも高まります。
見積の取り方は見積書・相見積のルール、計画書の書き方は事業計画書の書き方にまとめています。必要書類の全体像は必要書類の記事をご覧ください。
変更の先にある義務も見ておく
変更承認は、採択後に生じる義務のひとつにすぎません。全体を並べておくと、どの手続きがどの時期に来るのかが整理できます。
| 義務 | 内容 |
| 見積書等の提出 | 全計上経費の見積書等(相見積を含む)を提出。期限を過ぎると採択取消 |
| 交付決定前の発注禁止 | 交付決定通知前の発注・契約・支出はすべて対象外 |
| 変更の事前承認 | 内容変更・中止・廃止は事前承認が必要。計画にない新規費目の追加は原則不可 |
| 実績報告書の提出 | 期日内提出が必須。未提出は交付決定取消 |
| 処分制限財産の管理 | 単価50万円以上の機械装置等、50万円以上のウェブサイト・システム、店舗改装等は取得日から通常5年間、処分に事務局の承認が必要 |
| 関係書類の保存 | 事業終了後5年間保存。会計検査院等の検査対象 |
| 事業効果等状況報告 | 事業終了1年後に様式第14を提出。未提出者は次回以降の申請が制限される |
あわせて、取得財産は納品前後の写真記録と「第20回持続化」の表示が必要であること、補助金は事業年度の収益として計上され課税対象になること、交付申請額は消費税等仕入控除税額を減額して申請することも押さえておきます(P.24〜26)。
1年後の報告については事業効果報告の記事、実績報告の手順は実績報告の記事で扱っています。
相談先は地区によって異なる
変更承認の照会先は事務局です。事務局は商工会地区と商工会議所地区で異なり、公式サイトも別になります。どちらの地区かは、事業を営む場所の市区町村で決まります。本社の登記地ではありません。
| 区分 | おもな該当地域 | 事務局 | 公式サイト |
| 商工会地区 | おもに町村 | 株式会社ニューズベース/全国商工会連合会/各地商工会 | official.jizokukanb.com |
| 商工会議所地区 | おもに市 | 株式会社日本経営データ・センター/日本商工会議所/各地商工会議所 | r6.jizokukahojokin.info |
市区町村によっては両方が混在する地域もあります。分からない場合は地域の商工会または商工会議所に問い合わせてください(表紙・P.1、および第19回よくあるご質問 Q1-7を参考情報として参照)。地区の判定は商工会と商工会議所の違いで扱っています。
なお、社外の代理人のみで相談や依頼を完結させることは対象事業の要件上認められていません(P.6)。基礎審査でも、小規模事業者自身が主体的に取り組む内容であることが確認されます(P.32)。変更の相談も、事業者自身が内容を把握したうえで行うのが前提です。外部に支援を依頼する場合の注意点は申請代行の費用相場の記事にまとめています。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。本記事は第20回公募 公募要領 第8版の内容にもとづいています。変更承認の具体的な様式・提出方法・判断は事務局からの案内に従ってください。日程・要件・金額は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事の内容は採択や補助額を保証するものではありません。