持続化補助金の処分制限財産|50万円以上の資産の扱い
申請実務
公開: 2026年9月11日
更新: 2026年9月11日
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この記事の結論
処分制限財産とは、補助金で取得した財産のうち、一定の金額以上のものについて、取得後の一定期間は自由に処分できないと定められた財産のことです。公募要領第8版のP.24〜26では、補助事業者の義務のひとつとして、単価50万円以上の機械装置等、50万円以上のウェブサイトやシステム、店舗改装等が処分制限財産にあたり、通常は取得
処分制限財産とは何か
処分制限財産とは、補助金で取得した財産のうち、一定の金額以上のものについて、取得後の一定期間は自由に処分できないと定められた財産のことです。公募要領第8版のP.24〜26では、補助事業者の義務のひとつとして、単価50万円以上の機械装置等、50万円以上のウェブサイトやシステム、店舗改装等が処分制限財産にあたり、通常は取得日から5年間、処分には事務局の承認が必要であると記載されています。
この仕組みがあるのは、補助金が販路開拓のための投資を支えるものだからです。補助金で買った設備をすぐ売却したり、補助事業と関係のない用途に転用したりできてしまうと、制度の目的が果たされません。取得した資産を継続して活用することは、計画審査の観点にも含まれています(P.32〜41)。
この記事の要点
- 対象は単価50万円以上の機械装置等、50万円以上のウェブサイト・システム、店舗改装等
- 制限期間は通常、取得日から5年間
- 期間中に処分するには事務局の承認が必要
- 納品前後の写真記録と第20回持続化の表示が義務
- 関係書類は事業終了後5年間の保存義務
実務でとくに誤解が多いのは、補助金の入金が終われば制度との関わりも終わる、という感覚です。実際には、補助金が振り込まれた後に事業効果報告が控えており、さらにその先まで財産と書類の管理期間が続きます。設備を導入したときに5年という期間を意識できていれば、途中で機種を入れ替えたくなったときや店舗を移転することになったときに、慌てずに手続きを踏めます。
また、処分制限は事業者を縛るためだけの規定ではありません。取得した資産を継続して活用することは計画審査の観点にも含まれており、申請の段階で5年間使い続ける前提の設備を選んでおくことは、そのまま計画の説得力にもつながります。買いたい物から計画を組み立てるのではなく、販路開拓の狙いから必要な設備を導く順番で考えると、この点で無理がなくなります。
制度全体の流れは持続化補助金2026完全ガイド、採択後の義務の全体像は申請の流れの記事でも扱っています。
対象になる財産と金額の基準
処分制限の対象になるかどうかは、何を買ったかと、いくらだったかの2つで決まります。公募要領に記載されている範囲を整理すると次のようになります。
| 財産の種類 | 金額の基準 | 根拠 |
| 機械装置等費で取得した機械装置等 | 単価50万円(税抜)以上 | P.11〜21(機械装置等費の項) |
| ウェブサイト・システム | 50万円以上 | P.24〜26 |
| 店舗改装等 | P.24〜26に処分制限財産として記載 | P.24〜26 |
ここで注意したいのが、機械装置等費については公募要領の経費区分の説明で単価50万円(税抜)以上が処分制限財産と書かれている点です。税抜か税込かで判断が分かれる金額帯に近い買い物をするときは、見積の段階で窓口や事務局に確認してください。
ウェブサイトやシステムが処分制限財産に含まれるのは見落とされやすい部分です。形のある設備だけが対象だと思い込んでいると、ホームページやシステムを作り替えるときに手続きを失念します。ウェブサイト関連費の扱いはホームページ作成の記事、店舗改装の経費区分は店舗改装の記事で整理しています。
店舗改装等については、公募要領で処分制限財産として挙げられています。店舗改装は経費区分としては委託・外注費に計上されることが多く、機械装置等費のような単価の基準が示されていないため、判断に迷ったら見積の段階で窓口や事務局に確認するのが確実です。賃借している物件の内装工事のように、5年より先の扱いが読みにくい支出ほど早めの確認が効きます。
ウェブサイト関連費には別の上限がある
第20回では、広報費とウェブサイト関連費はいずれも補助金交付申請額の上限が30万円(税込)という定額になっています(P.13、P.14)。第19回までの補助金交付申請額の1/4という按分ルールは古い情報です。この上限は補助金として出る額の話であり、処分制限財産の50万円という基準とは別の数字なので混同しないでください。
紛らわしい3つの50万円を区別する
持続化補助金には50万円という数字が複数の意味で登場します。ここを取り違えると、必要のない相見積を取ったり、逆に必要な手続きを飛ばしたりします。
| 場面 | 金額 | 意味 |
| 補助上限 | 50万円 | 基本の補助上限額。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方で最大250万円(P.7〜11) |
| 相見積が必要になる基準 | 発注総額50万円(税込)超 | 1件あたりの発注総額がこれを超えると原則2者以上の見積が必要(P.11〜21) |
| 処分制限財産の基準 | 単価50万円(税抜)以上の機械装置等ほか | 取得日から通常5年間、処分に事務局の承認が必要(P.24〜26) |
| 中古品が買える上限 | 50万円未満 | 中古品は単価50万円未満のもののみ対象。金額にかかわらず2者以上の見積が必要(P.11〜21) |
たとえば単価48万円(税抜)の機械を買う場合、処分制限財産にはあたりません。しかし税込では50万円を超えることがあり、その場合は相見積が必要になります。逆に、税抜52万円の機械は処分制限財産であり、かつ相見積も必要です。金額のどちらの意味で50万円を見ているのかを、常に意識してください。
もうひとつ、金額の数え方そのものにも注意が必要です。相見積の基準は1件あたりの発注総額で判断します。一方、処分制限は機械装置等について単価で判断します。同じ買い物でも、まとめて1件で発注したのか、単価がいくらなのかで見るべき数字が変わります。複数台をまとめて購入する場合や、本体と付属品を別々に見積もっている場合は、どの単位で判断するのかを事前に確認してください。
中古品については、単価50万円未満のもののみが対象です。オークションでの購入や個人からの購入は認められず、修理費も対象外です(P.11〜21)。見積の取り方のルールは見積書・相見積のルールにまとめています。
制限期間は取得日から通常5年間
処分制限の期間は、通常、取得日から5年間です(P.24〜26)。起算点は補助金の入金日でも事業終了日でもなく、財産を取得した日である点に注意してください。
| 時期 | できごと | 財産の扱い |
| 交付決定日 | この日以降でなければ発注・契約・支出は補助対象にならない | まだ取得していない |
| 納品・検収 | 納品前後の写真を撮り、第20回持続化の表示を付ける | 取得日。ここから制限期間が始まる |
| 補助事業実施期限 | 第20回は2028年3月31日 | 制限期間の途中 |
| 実績報告書の提出期限 | 第20回は2028年4月10日 | 制限期間の途中 |
| 事業終了のおおむね1年後 | 事業効果報告(様式第14)の提出 | 制限期間の途中 |
| 取得日から5年後 | 処分制限期間の満了(通常) | 制限が外れる |
取得日がいつになるかは、納品や検収の記録で示すことになります。発注から納品までに時間がかかる設備の場合、交付決定の直後に発注しても取得日は数か月先になることがあります。制限期間の終わりを正確に把握するためにも、納品書や検収の記録に日付が残る形で保管しておいてください。
関係書類の保存義務は補助事業終了後5年間で、こちらは起算点が事業終了時です(P.24〜26)。財産の制限期間と書類の保存期間は、同じ5年でも数え始める時点が違います。両方をカレンダーに入れておくと安全です。
あわせて、第20回のおもな期限を並べておきます。
| 項目 | 日付 |
| 申請受付締切 | 2026年12月15日 17:00 |
| 採択発表 | 2027年3月頃予定(申請数等により変動) |
| 見積書等の提出期限 | 2028年2月29日 |
| 補助事業実施期限 | 2028年3月31日 |
| 実績報告書の提出期限 | 2028年4月10日 |
日程の全体像は第20回のスケジュール解説で確認できます。
処分にあたる行為と、必要な手続き
公募要領には、処分制限財産は取得日から通常5年間、処分に事務局の承認が必要であると記載されています(P.24〜26)。どのような行為が処分にあたるかについて、要領の記載を超えて断定することはできません。実務では、次のような場面で自己判断せず事務局へ確認するのが安全です。
| 検討している行為 | 対応 |
| 設備を売却したい | 事前に事務局へ確認する。承認なしに進めない |
| 使わなくなったので廃棄したい | 事前に事務局へ確認する。故障や被災の場合も同様 |
| 他社や他店舗に貸したい、譲りたい | 事前に事務局へ確認する |
| 担保に入れたい | 事前に事務局へ確認する |
| 補助事業と別の用途に転用したい | 事前に事務局へ確認する |
| 店舗を移転する、閉店する | 事前に事務局へ確認する。補助事業の中止・廃止にあたる場合は変更承認の手続きも必要 |
| ウェブサイトを作り替える、閉鎖する | 50万円以上のものは処分制限財産にあたるため事前に確認する |
先に動いてから相談しない
承認が必要なものは、承認を受けてから実行するのが前提です。先に売却や廃棄をしてから相談しても、後から承認を得ることはできません。公募要領では補助事業の内容変更・中止・廃止についても事前承認が必要とされており(P.24〜26)、いずれも事後の追認を想定した仕組みにはなっていません。
処分の可否を自分で判断してしまう背景には、補助金の対象になったのは代金の一部であって残りは自己負担だ、という感覚があります。補助率は2/3で、賃金引上げ特例を使う赤字事業者のみ3/4です(P.7〜11)。自己負担が大きいことは事実ですが、それは処分制限の有無とは別の話です。金額の多寡にかかわらず、基準に該当する財産は承認の対象になります。
手続きの具体的な様式や提出先は事務局の案内に従ってください。事務局は商工会地区と商工会議所地区で異なります。計画そのものを変える場合の手続きは計画変更承認の記事で扱っています。
写真の記録と「第20回持続化」の表示
取得財産については、納品前後の写真記録と「第20回持続化」の表示(シール等)が必要とされています(P.24〜26)。これは実績報告の証憑としても、その後の管理のためにも使われます。
この義務でつまずくのは、事後に取り返しがつかない点です。納品前の状態は納品の前にしか撮れません。とくに店舗改装のように現場の状態が変わる工事では、着工前、施工中、完成後の記録を残しておかないと、何をいくらで施工したのかを写真で示せなくなります。
| タイミング | 撮っておくもの | 注意点 |
| 発注前・着工前 | 設置場所や施工前の状態 | 後から撮り直せない |
| 納品時・施工中 | 搬入や工事の状況 | 日付が分かる形で保存する |
| 設置後 | 設置された状態の全体と型番等が分かる部分 | 実物と見積の内容が一致していることが分かるように撮る |
| 表示後 | 第20回持続化の表示が貼られた状態 | 表示が読み取れる大きさで撮る |
写真と書類はセットで保管する
見積書、発注書、納品書、請求書、振込の控えといった証憑と、写真を同じ場所にまとめておくと、実績報告のときも、5年間の保存期間中に確認を求められたときも探す手間がかかりません。支払いは銀行振込が原則で、1取引10万円(税抜)を超える現金払いはできません(P.11〜21)。
書類の保存義務と検査
関係書類は補助事業終了後5年間の保存義務があり、会計検査院等の検査対象になります(P.24〜26)。補助金は税金を原資とするため、事後に使途を確認される可能性がある前提で管理します。
| 保存するもの | なぜ必要か |
| 交付決定通知書 | 交付決定日を示す。この日以降の支出だけが対象になるため |
| 見積書(相見積を含む) | 発注総額50万円(税込)超は2者以上の見積が必要なため |
| 発注書・契約書 | 発注日が交付決定日以降であることを示すため |
| 納品書・検収記録 | 実際に納品された事実を示すため |
| 請求書・支払いの控え | 補助事業期間内に支払いが完了したことを示すため |
| 取得財産の写真 | 納品前後の記録と表示の義務があるため |
| 実績報告書・事業効果報告の控え | 提出した事実と内容を確認するため |
公式サイトは、購入・納品したことになっているが実際には納品されていない、広報するはずが実施していないといった実態のない支出を不正受給の例として明示しています。発覚した場合は交付決定の取消、加算金を付した返還命令、不正内容の公表に加え、補助金適正化法により5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。証憑と写真をきちんと残すことは、こうした疑いを避けるための実務でもあります。
保存の形式についても決まった指定がない部分は、後から探せることを優先して整えておきます。補助事業ごとにひとつのファイルにまとめ、経費区分ごとに見積から支払いの控えまでを一続きで綴じておくと、確認を求められたときに必要な書類をすぐ示せます。電子データで保存する場合も、どのファイルがどの支出に対応するのかが分かる名前を付けておくと、担当が替わっても追えます。
なお、補助金は事業年度の収益として計上され課税対象になります(P.24〜26)。設備を取得した年度の会計処理については顧問税理士に確認してください。
経費計画の段階で考えておくこと
処分制限は採択後の話ですが、備えは申請の段階から始まります。買う物の単価と区分の決め方で、後の手続きの重さが変わるためです。
| 検討する場面 | 考えておくこと |
| 単価50万円前後の設備を買う | 処分制限財産になる可能性がある。5年間使い続ける前提で機種を選ぶ |
| 複数台をまとめて買う | 単価と発注総額のどちらで判断するのかを窓口・事務局に確認する |
| ウェブサイトやシステムを作る | 50万円以上は処分制限財産。作り替えの予定があるかを考える |
| 店舗改装を行う | 賃借物件の場合、退去や原状回復の予定と制限期間の関係を確認する |
| 中古品を検討する | 単価50万円未満のみ対象。オークション・個人購入は不可、修理費も対象外 |
| 老朽化した設備の入れ替え | 取替え更新のみの取組は対象外(P.11〜21) |
設備の選定では、5年間の使用に耐えるかどうかも見ておきたい観点です。安価な機種を選んで数年で入れ替えることになると、制限期間の途中で処分の相談が必要になります。逆に、過剰な仕様を選んで自己負担が膨らむのも本末転倒です。販路開拓の狙いに対して必要十分な仕様はどこか、という基準で選ぶのが結局は無理のない形になります。
賃借物件で店舗改装を行う場合は、契約期間と処分制限期間の関係を早めに確認しておくと安心です。5年より短い契約期間しか残っていない状態で大きな改装を計画すると、途中で判断を求められる場面が出てきます。
機械装置等費の範囲は機械装置等費の記事、対象経費の全体像は対象経費一覧の記事にまとめています。区分の当てはめを誤ると金額が妥当でも対象外になるため、経費区分の間違いの記事もあわせてご覧ください。
よくある誤解
処分制限について、実務でよく見かける誤解を整理します。
| よくある誤解 | 実際 |
| 補助金が入金されたら自分の財産だから自由にできる | 単価50万円以上の機械装置等などは取得日から通常5年間、処分に事務局の承認が必要(P.24〜26) |
| 制限があるのは形のある設備だけ | 50万円以上のウェブサイト・システム、店舗改装等も処分制限財産に含まれる |
| 5年は補助金が入金された日から数える | 通常は取得日から5年間。書類の保存義務は事業終了後5年間で起算点が異なる |
| 壊れて使えなくなれば手続きは不要 | 廃棄も自己判断せず、事前に事務局へ確認する |
| 相見積が必要な50万円と処分制限の50万円は同じ | 相見積は発注総額50万円(税込)超、機械装置等の処分制限は単価50万円(税抜)以上と、基準が異なる |
| 表示シールは付けなくても実害はない | 納品前後の写真記録と第20回持続化の表示は補助事業者の義務として記載されている |
もうひとつ付け加えると、処分制限財産にあたらない買い物であっても、補助事業で取得した以上は実績報告や5年間の書類保存の対象になります。単価が基準に届かないから何も気にしなくてよい、というわけではありません。証憑と写真を残す習慣は、金額にかかわらず持っておくほうが安全です。
補助金で買った物を大切に使い続けること自体は、事業の観点からも自然な話です。問題になるのは、事業の状況が変わったときに手続きを飛ばしてしまうことです。迷ったら事務局に聞く、という一点を守れば大きな失敗にはつながりません。
確認先は地区によって異なる
処分の承認や具体的な手続きの照会先は事務局です。事務局は商工会地区と商工会議所地区で異なり、公式サイトも別になります。どちらの地区かは、事業を営む場所の市区町村で決まります。本社の登記地ではありません。
| 区分 | おもな該当地域 | 事務局 | 公式サイト |
| 商工会地区 | おもに町村 | 株式会社ニューズベース/全国商工会連合会/各地商工会 | official.jizokukanb.com |
| 商工会議所地区 | おもに市 | 株式会社日本経営データ・センター/日本商工会議所/各地商工会議所 | r6.jizokukahojokin.info |
照会の前に、交付決定通知書と実績報告の控え、対象となる財産の見積書と納品書を手元に用意しておくと話が早く進みます。いつ取得したどの財産について、どのような理由でどうしたいのかを整理して伝えることが、承認の要否を判断してもらう最短の道です。
市区町村によっては両方が混在する地域もあります。分からない場合は地域の商工会または商工会議所に問い合わせてください(表紙・P.1、および第19回よくあるご質問 Q1-7を参考情報として参照)。地区の判定は商工会と商工会議所の違いで詳しく扱っています。
取得財産の管理は、事業効果報告や次回の再申請にもつながります。1年後の報告で取得資産の継続活用を説明することになるため、事業効果報告の記事と再申請の記事もあわせて確認しておくと、5年間の管理の見通しが立ちます。
出典・参考情報
最終更新日: 2026年9月11日。本記事は第20回公募 公募要領 第8版の内容にもとづいています。処分の承認手続きの具体的な様式・提出先は事務局からの案内に従ってください。日程・要件・金額は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事の内容は採択や補助額を保証するものではありません。