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製造業の持続化補助金|設備・試作・展示会の使い方

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小規模事業者持続化補助金は、販路開拓やそれに伴う業務効率化の費用を国が補助する制度です。対象は小規模事業者で、業種によって従業員数の基準が変わります。

製造業は持続化補助金の対象になるか

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓やそれに伴う業務効率化の費用を国が補助する制度です。対象は小規模事業者で、業種によって従業員数の基準が変わります。製造業は「製造業その他」に区分され、常時使用する従業員20人以下が基準です(公募要領第8版 P.4)。

業種常時使用する従業員数製造業から見た位置づけ
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下製造した品物を小売する形が中心なら、この区分で判定される場合があります
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下通常は該当しません
製造業その他20人以下金属加工、食品製造、印刷、木工、繊維などの製造・加工が中心の事業者

業種の判定は、現に行っている事業(または予定している業態)で判断します(P.4)。自社で製造したものを直営店で売っている場合など、製造と小売が混在する事業者は、どちらの区分で判定されるかで従業員数の基準が5人以下と20人以下に分かれます。境界にいる事業者は、申請準備の早い段階で商工会・商工会議所に確認しておくのが安全です。

従業員数の数え方

「常時使用する従業員」は、中小企業基本法および労働基準法第20条の解雇予告を要する者を指します。日雇い、2か月以内の期間を定めて雇用される者、季節的業務に4か月以内で雇用される者、試用期間中の者は含みません。会社役員と同居の親族従業員も含まず、派遣社員も含みません。一方、パートタイムの従業員は含みます(P.4、および第19回 よくあるご質問 Q2-3・Q2-4を参考情報として参照)。

製造業が最初に確認する3点

  • 常時使用する従業員が20人以下か(パートは含む、役員・同居親族従業員・派遣社員は含まない)
  • 直近過去3年分の確定済み課税所得の年平均額が15億円を超えていないか(P.4)
  • 法人の場合、資本金または出資金5億円以上の法人に直接または間接に100%株式を保有されていないか(P.4)

対象者の要件そのものは対象者と小規模事業者の定義の記事に、制度全体の流れは第20回の完全ガイドにまとめています。ここから先は、製造業に固有の当てはめ方を見ていきます。

製造業の取組を8つの経費区分に当てはめる

補助対象になる経費は8区分だけで、これ以外は対象になりません(P.11〜21)。製造業でやりたいことの多くは機械装置等費、新商品開発費、展示会等出展費のいずれかに乗ります。まず、自社の取組がどの区分に入るのかを一覧で確認してください。

製造業でよくある取組当てはまる経費区分区分上の注意
新しい加工を可能にする工作機械・検査機器の導入機械装置等費老朽化した設備の単純な取替え更新は対象外
自社ブランド品の試作、原材料の試験、デザイン依頼新商品開発費テストマーケティングや市場調査の内容と結果の記載が必須
産業展・見本市への出展、オンライン商談会への参加展示会等出展費国の助成を一部でも受ける展示会は対象外
出展にともなう担当者の交通費・宿泊費旅費日当、ガソリン代、タクシー代、高速代は対象外
製品カタログ、パンフレット、業界紙への広告広報費上限30万円(税込)。この区分だけの単独申請は不可
自社サイトの制作、受発注システム、生産管理ソフトウェブサイト関連費上限30万円(税込)。この区分だけの単独申請は不可
工場内のレイアウト変更、作業スペースの改修工事委託・外注費自社役員・従業員・3親等以内の親族への発注は対象外
設備の短期レンタル、試験機器の借り上げ借料事務所・工場の家賃は原則対象外

この表で気をつけたいのは、製造業でよく出てくる支出の一部がそもそも表に載っていないことです。材料の仕入れ、消耗工具や刃物などの消耗品、既存設備の修理費、フォークリフトやトラックといった車両は、いずれも対象外に明記されています(P.18〜20)。区分の当てはめを間違えると計画全体を組み直すことになるため、支出を洗い出した段階で対象外のものを先に外しておくのが効率的です。

区分の当てはめで迷いやすい点は経費区分の間違いの記事、対象経費の全体像は対象経費一覧の記事で整理しています。

機械装置等費を使うときの判断基準

製造業の申請で中心になるのが機械装置等費です。ただし、この区分には金額によって扱いが変わるルールが複数あり、製造業は単価が大きいためほぼ全件が何らかのルールに触れます。先に金額の線引きを押さえてください(P.11〜21)。

金額の線税抜・税込の別発生する扱い
単価50万円以上税抜処分制限財産になり、通常は取得日から5年間、処分に事務局の承認が必要
発注総額50万円超税込原則2者以上の相見積りが必要
中古品税込・税抜を問わず50万円未満のものだけが対象。金額にかかわらず全件2者以上の相見積りが必要
1取引10万円超税抜現金払いは不可。銀行振込が原則

中古品については、オークションでの落札や個人からの購入は認められません。また修理費は機械装置等費の対象外です。老朽化した機械を直して使い続けるための費用は、この制度では見てもらえないと理解してください。

単純な取替え更新は対象外という壁

製造業でもっとも多いつまずきが、ここです。要領では通常の事業活動費用として「老朽化設備の単純取替え」が対象外に挙げられています(P.18〜20)。同じ能力の機械を新品に入れ替えるだけの計画は、たとえ経営上の必要性が高くても補助の対象にはなりません。

一方で、同じ機械の購入であっても、これまで外注していた工程を内製化して新しい受注層に対応する、加工精度や対応サイズを広げて取引先の幅を広げる、といった販路開拓との結びつきを説明できる場合は、話が変わります。要件が「販路開拓等の取組、またはそれと併せて行う業務効率化の取組」であること(P.6)を踏まえ、その機械を入れることで何がどう売れるようになるのかを様式2で具体的に書けるかどうかが分かれ目になります。

他社のための設備は対象外

要領では、他社のための取組として「他社製品製造用の機械」が対象外に挙げられています(P.18〜20)。受託加工が中心の事業者は、その設備が自社の販路開拓のためのものだと説明できる形に計画を整える必要があります。特定の取引先の要請で入れる専用設備は判断が難しいため、窓口相談の段階で具体的に確認してください。

また、単価50万円(税抜)以上の機械は処分制限財産となり、取得財産は納品前後の写真記録と「第20回持続化」の表示(シール等)が求められます(P.24〜26)。処分制限の詳しい扱いは取得財産の処分制限の記事、相見積りの実務は見積書と相見積りのルールの記事、区分そのものの範囲は機械装置等費の記事を参照してください。

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自社製品の試作は新商品開発費で組み立てる

下請け中心から自社ブランドへ、という取組は製造業の申請で定番の方向性です。この場合に使えるのが新商品開発費で、試作にかかる原材料費やデザイン費が対象になります(P.11〜21)。ただしこの区分には、他の区分にはない固有の条件が2つあります。

条件内容満たさない場合
テストマーケティング・市場調査その内容と結果を記載することが必須記載がなければ対象外になります
使い切りが前提試作で消費し切る原材料であること量産用の材料在庫や販売用製品の調達は対象外です

つまり、試作品を作って終わりではなく、作ったものを誰にどう見せ、どんな反応があったのかまでを計画と報告に含める必要があります。展示会での反応を記録する、既存取引先にサンプルを出して評価を得る、といった検証の場をあらかじめ計画に組み込んでおくと、この条件を自然に満たせます。

デザイン費の扱いと対象外の境界

製品デザインやパッケージデザインを外部に依頼する費用は新商品開発費に含められます。一方で、要領では電子書籍の出版費が新商品開発費でもウェブサイト関連費でも対象外であると明記されており、販売目的の有料教材の制作費も対象外です(P.11〜21、P.18〜20)。また、コンサルティングやアドバイスの費用は原則として対象外で、例外はインボイス制度対応のための専門家相談費用に限られます。デザイン監修という名目でも、実態が助言にとどまる契約は認められにくい点に注意してください。

試作で得た成果をカタログや自社サイトで発信する場合は、広報費とウェブサイト関連費を組み合わせることになります。それぞれ上限30万円(税込)という枠がある点は後述します。新商品開発費の範囲は新商品開発費の記事で詳しく扱っています。

展示会出展と旅費の使い方

製造業の販路開拓でもっとも直接的なのが展示会です。展示会等出展費は、リアルの産業展や見本市だけでなく、オンライン展示会やオンライン商談会も含みます(P.11〜21)。出展にともなう移動と宿泊は旅費の区分になり、区分が分かれる点に注意してください。

項目区分対象・対象外
出展小間料、装飾費、オンライン展示会の参加費展示会等出展費対象
国の助成を一部でも受けている展示会への出展展示会等出展費対象外
レンタカー代、ガソリン代、駐車場代展示会等出展費対象外
担当者の鉄道運賃、航空券(エコノミークラスまで)、宿泊費旅費国の旅費支給基準に準拠する範囲で対象
日当、タクシー代、高速道路料金、グリーン車等の付加料金旅費対象外
展示会で配るカタログ、サンプル台紙の印刷広報費上限30万円(税込)の枠内で対象

見落としやすいのが、国の助成を一部でも受けている展示会は対象外という規定です。産業支援機関や業界団体が主催する展示会には国の事業として実施されているものがあり、出展料の一部が既に公的資金で賄われている場合は重複になります。出展を決める前に主催者に確認しておくと、計画の組み直しを避けられます。

旅費は積み上げの根拠を残す

旅費は国の旅費支給基準に準拠するとされており、航空機はエコノミークラスまでです。自家用車で移動した場合のガソリン代は展示会等出展費でも旅費でも対象外なので、移動手段の選び方が補助額に影響します。展示会が複数日にわたる場合は、誰が何日行くのかを計画段階で確定させ、実績報告で説明できる形に整えておいてください。

なお、補助事業として計上できるのは交付決定日以降に発生し、補助事業期間内に支払いが完了した経費だけです(P.11〜21、P.24〜26)。出展申込の締切が早い展示会は、申込金の支払時期が交付決定より前にならないかを事前に確認してください。展示会の扱いは展示会等出展費の記事にまとめています。

カタログとウェブは30万円の枠で考える

第20回では、広報費とウェブサイト関連費の扱いが第19回までと変わりました。以前は「補助金交付申請額の1/4」という按分ルールでしたが、第20回では両区分とも補助金交付申請額の上限が定額30万円(税込)になっています(P.13、P.14)。ウェブ制作会社の案内や他サイトの解説で1/4上限と書かれているものは第19回以前の情報なので、第20回の計画には使わないでください。

区分第20回の上限単独申請製造業での典型例
広報費補助金交付申請額の上限30万円(税込)不可製品カタログ、会社案内を兼ねない製品パンフレット、業界紙広告
ウェブサイト関連費補助金交付申請額の上限30万円(税込)不可自社サイト、受発注や顧客管理のシステム、生産管理ソフト

どちらの区分も、その区分だけで申請することはできません。機械装置等費や展示会等出展費など他の区分の取組と組み合わせる必要があります。製造業の場合は設備が計画の中心になることが多いため、この制約は実務上あまり問題になりませんが、ウェブ刷新だけを目的に申請しようとすると成立しない点は覚えておいてください。

区分の切り分けでよくある誤解は、システム開発の扱いです。公式のよくあるご質問では、ホームページ制作、システム開発、POSソフト、顧客管理ソフトはすべてウェブサイト関連費として扱うと整理されています(第19回 よくあるご質問。参考情報)。生産管理や受発注のソフトを機械装置等費に入れてしまうと区分の誤りになります。また、単なる会社PRや求人広告は広報費の対象外です。人手不足の解消を目的にした求人広告は、この制度では補助されません。

ウェブの扱いはホームページ作成の記事、広報費の範囲はチラシと広報費の記事で詳しく扱っています。

製造業で対象外になりやすい経費

対象外の一覧(P.18〜20)のうち、製造業が特に引っかかりやすいものを抜き出します。計画づくりの最初にこの表を見て、該当するものを外してから金額を積んでください。

対象外になるもの製造業での具体例代わりに検討できること
自動車等車両フォークリフト、配送用トラック、除雪車既存車両の改装部分のみ委託・外注費で対象化できる場合があります
老朽化設備の単純取替え同じ能力の機械への入れ替え新しい加工や新しい客層につながる設備であることを計画で示す
通常の事業活動費用材料の仕入れ、事務机、応接ソファ販路開拓の取組に直接必要な支出に絞る
消耗品梱包材、段ボール、文房具、インク、名刺計画から外す
修理費・車検費用既存機械の修理、不動産の修理費計画から外す
他社のための取組他社製品製造用の機械、他社サイトの制作自社の販路開拓であることを明確にする
販売・有償レンタル目的の製品調達転売用の商品仕入れ、貸出用機材の購入計画から外す
光熱水費・通信費・借入金利息工場の電気代、回線費用計画から外す
役員報酬・直接人件費・雑役務費従業員の残業代、アルバイト代、派遣料計画から外す
3親等以内の親族等への発注親族が経営する会社への工事発注第三者から相見積りを取り、発注先を見直す

フォークリフトが対象外として明示されている点は、製造業では特に影響が大きいところです。要領には自動車、フォークリフト、キッチンカー、除雪車、キッチントレーラー等と列挙されており、車両本体は補助の対象になりません。既に保有している車両の改装部分については委託・外注費で対象化できる場合があるとされていますが(第19回 よくあるご質問 Q3-15。参考情報)、新規購入を前提にした計画は成り立ちません。

工場の家賃と応募書類の作成費

もうひとつ注意したいのが借料です。事務所や工場の家賃は原則として対象外で、新規に賃借する場合のみ対象化の可能性があるとされ、その場合も床面積の按分資料が必要になります。保証金、敷金、仲介手数料、駐車場代は対象外です。また、応募書類の作成を外部に依頼した費用は委託・外注費の対象外であり、税理士・公認会計士・弁護士の費用も原則対象外です(例外はインボイス制度対応のための専門家相談費用のみ)。申請支援を有償で受けること自体は妨げられませんが、その費用は補助金では見てもらえないと理解してください。

対象外経費の全体像は対象外経費の記事にまとめています。

審査の観点から見た製造業の計画の書き方

審査は非公開の書面審査で、ヒアリングはありません(P.32〜41)。基礎審査の4要件を満たさないと即失格となり、そのうえで計画審査の観点にもとづいて高評価順に採択されます。製造業の計画で問われやすいのは、技術の説明ではなく、その技術が売上にどうつながるかの説明です。

計画審査の観点製造業の計画で書くべきこと
自社の経営状況分析の妥当性取引先構成、受注の偏り、加工できる範囲と設備の稼働状況を自社の数字で示す
経営方針・目標とプランの適切性狙う市場と顧客像、その層が求める仕様や納期、既存取引との違いを書く
補助事業計画の有効性設備導入で何が作れるようになり、どの顧客に届くのかを客観的根拠とともに示す。デジタル活用や資産の継続活用の観点も評価対象
積算の透明・適切性見積りの内訳を明示する。「一式」の記載は避ける

要件として、事業効果報告書の提出時点で売上高または売上総利益が補助事業終了時と比べて増加する見込みであることが求められ、様式2に定量的な根拠を書く必要があります(P.6)。製造業は単価と数量で説明しやすい業種なので、既存の受注実績を起点に、新しい加工でいくらの受注を何件見込むのかを積み上げる書き方が自然です。

製造業が使いやすい加点項目

加点は【重点政策加点】5種と【政策加点】11種から、最大1種類ずつ、合計2種類まで選べます。3種類以上を選ぶと加点対象外になるため、選び方に注意してください(P.32〜41)。

加点の種類名称製造業での使いどころ
重点政策加点事業環境変化加点原油・LPガス高騰、米国相互関税等の影響を受けている場合
重点政策加点赤字賃上げ加点賃金引上げ特例の赤字事業者に自動適用
政策加点事業継続力強化計画策定加点設備が集中する事業所の災害対応を計画化している場合
政策加点経営力向上計画加点基準日までに認定を受けていることが必要
政策加点事業承継加点代表者が満60歳以上で後継者候補が中心的に実施。様式10の事業承継診断票が必要
政策加点賃金引上げ加点年平均2.0%以上の賃上げ目標。特例の3.0%とは基準が異なります
政策加点小規模事業者卒業加点従業員数を製造業等で21人以上に拡大する場合。採択・実施すると以後は対象外になります

経営力向上計画は基準日までの認定が必要で、認定には期間がかかります。加点を狙うなら申請直前ではなく、早い段階から手続きを進めてください。過去に採択されたことがある事業者は、過去と明確に異なる新たな事業かどうかも審査され、過去の実施回数に応じた段階的な減点調整があります。加点の一覧は加点項目の記事、審査の流れは審査基準の記事で扱っています。

補助額の考え方と計画の組み立て(モデルケース)

補助の基本は上限50万円、補助率2/3です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方に該当すると最大250万円になります(P.7〜11)。賃金引上げ特例を使う赤字事業者は補助率が3/4になります。上限まで受け取るにはその1.5倍の対象経費が必要、という関係を先に押さえてください。

区分受け取れる補助金の上限補助率2/3で必要な対象経費
基本50万円75万円
インボイス特例に該当100万円150万円
賃金引上げ特例に該当200万円300万円
両方に該当250万円375万円

以下は区分上限の効き方を示すモデルケースとしての計算例で、特定の事業者の事例ではありません。設備を中心に据え、広報とウェブを枠内に収めた形です。

区分対象経費補助率2/3の額区分上限の影響
機械装置等費90万円60万円区分上限なし
展示会等出展費30万円20万円区分上限なし
広報費18万円12万円補助金額12万円は30万円以内なので影響なし
ウェブサイト関連費12万円8万円補助金額8万円は30万円以内なので影響なし
合計150万円100万円インボイス特例に該当する場合の上限100万円に到達

ここで注意したいのは、機械装置等費に区分上限がない一方、単価50万円(税抜)以上は処分制限財産となり、発注総額50万円(税込)超は相見積りが必要になる点です。金額が大きいほど手続きの要件が増えるので、見積り取得の段取りを申請前に組んでおいてください。

賃金引上げ特例を使う場合の判断

賃金引上げ特例は、2027年4月1日から補助事業実施期限日である2028年3月31日までの期間と、その前年同月の12か月を比較し、従業員1人あたりの給与支給総額を年平均3.0%以上増加させる事業者が対象です(P.9〜11)。この特例での従業員は非常勤を含み、代表者・役員・専従者は除くという定義で、申請要件の「常時使用する従業員」とは別基準です。混同しないでください。

特例の上乗せは、補助事業終了時点で要件を満たさなければ交付されません。上乗せ部分だけが減るのではなく、全体が不交付になる場合もあります(P.7〜11)。設備投資で人手を増やす計画と賃上げの計画は両立させやすい一方、受注が計画どおりに伸びなかった場合の影響も大きいため、余力を見て判断してください。詳細は賃金引上げ特例の記事、上限と補助率の全体像は補助率と上限の記事にあります。

資金面では、補助金は精算払いです。交付決定後にいったん自社で支払い、実績報告と補助金額の確定を経てから入金されます(P.22〜23)。設備の支払いは金額が大きいため、つなぎ資金の手当ては計画段階で決めておいてください。補助金は事業年度の収益として計上され、課税の対象になります(P.24〜26)。

第20回の日程と申請前チェックリスト

第20回の日程は公募要領P.3に記載があり、商工会地区の公式サイトの申請ページでも同じ内容が確認できます。設備の選定と相見積りに時間がかかる製造業は、締切から逆算して動いてください。

項目日付
申請受付開始2026年11月5日
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日
申請受付締切2026年12月15日 17:00
採択発表予定2027年3月頃(申請数等により変動)
見積書等の提出期限2028年2月29日
補助事業実施期限2028年3月31日
実績報告書提出期限2028年4月10日

申請の手順は次のとおりです(P.22〜23)。GビズID(プライムまたはメンバー)を取得し、電子申請システムに経営計画(様式2)と補助事業計画(様式3)を入力します。並行して地域の商工会・商工会議所へ事業支援計画書(様式4)の発行を依頼し、面談を経て発行を受けます。商工会地区はシステム内で発行依頼をすると自動で反映され、商工会議所地区は発行されたPDFを自分でアップロードします。締切までに全提出物をそろえて申請し、採択後に全計上経費の見積書等を提出して交付決定を受けます。申請方法は電子申請システムのみで、郵送は受け付けられません(P.3)。

発注できるのは交付決定日以降

採択通知だけでは事業に着手できません。交付決定通知前の発注、契約、支出はすべて対象外です(P.24〜26)。交付決定は採択発表からおおむね1か月から2か月かかるのが目安です。納期の長い機械は、メーカーとの調整で発注を先行させたくなりますが、先に発注すると補助対象から外れます。詳しくは交付決定前の発注の記事を参照してください。

申請前チェックリスト

  • 常時使用する従業員が20人以下か(パートは含む、役員・同居親族従業員・派遣社員は含まない)
  • 導入する設備が老朽化設備の単純な取替え更新になっていないか
  • フォークリフトやトラックなど車両本体を計画に入れていないか
  • 材料の仕入れ、消耗工具、既存機械の修理費を計画に入れていないか
  • 発注総額50万円(税込)超の相見積りを取る段取りができているか
  • 中古品を入れる場合、50万円未満かつ2者以上の見積りが取れるか
  • 見積書が「一式」ではなく内訳で書かれているか
  • 広報費・ウェブサイト関連費だけの計画になっていないか
  • 新商品開発費を使う場合、テストマーケティングの内容と結果を書けるか
  • 売上高または売上総利益の増加根拠を自社の数字で書けるか
  • 様式4の発行依頼を2026年12月4日の受付締切に間に合う日程で予約したか
  • 過去に採択され、様式第14の事業効果および賃金引上げ等状況報告書が未提出になっていないか

窓口は事業を営む場所で決まる

この補助金は、事業を営む場所の市区町村によって「商工会地区」と「商工会議所地区」に分かれ、事務局も公式サイトも別になります。本社の登記地ではなく、事業を実施する場所で判断します(表紙・P.1)。工場と本社が別の市区町村にある製造業は、ここを取り違えやすいので注意してください。

区分おもな該当地域事務局公式サイト
商工会地区おもに町村株式会社ニューズベース/全国商工会連合会/各地商工会official.jizokukanb.com
商工会議所地区おもに市株式会社日本経営データ・センター/日本商工会議所/各地商工会議所r6.jizokukahojokin.info

同一事業者が同一の受付締切回に応募できるのは1件のみです。代表者が同じ複数法人、個人事業主と兼務する法人での重複申請、複数屋号での重複応募はいずれも認められません(P.22〜23)。GビズIDは取得に数週間かかることがあり、暫定IDでは申請できません。地区の判定は商工会と商工会議所の違いの記事、電子申請の準備はGビズIDと電子申請の記事、日程の全体像は第20回スケジュールの記事を参照してください。

出典・参考情報

最終更新日: 2026年9月11日。本記事は第20回公募 公募要領 第8版の内容にもとづいています。日程・要件・金額は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。本記事の記載は一般的な整理であり、採択や補助額を保証するものではありません。個別の経費が対象になるかどうかは、商工会・商工会議所または事務局にご確認ください。

よくある質問(FAQ)

A

製造業は「製造業その他」の区分に入り、常時使用する従業員20人以下が基準です(公募要領第8版 P.4)。パートタイムの従業員は人数に含みますが、会社役員、同居の親族従業員、日雇い、2か月以内の期間雇用、季節的業務に4か月以内で雇用される者、試用期間中の者、派遣社員は含みません。ただし業種の判定は現に行っている事業で行うため、製造したものを小売する形が中心の場合は商業・サービス業として5人以下で判定される可能性があります。境界にいる事業者は窓口で確認してください。

A

同じ能力の機械に入れ替えるだけの計画は対象外です。要領では通常の事業活動費用として「老朽化設備の単純取替え」が対象外に挙げられています(P.18〜20)。一方で、外注していた工程を内製化する、対応できる加工精度やサイズを広げて新しい受注層に対応するなど、販路開拓との結びつきを様式2で説明できる場合は、機械装置等費として計上できる余地があります。買い替えという事実ではなく、その設備で何がどう売れるようになるのかが判断の軸になります。

A

対象外です。要領では自動車等車両として、自動車、フォークリフト、キッチンカー、除雪車、キッチントレーラー等が対象外に明記されています(P.18〜20)。車両本体は購入もリースも補助の対象になりません。すでに保有している車両の改装部分については、委託・外注費として対象化できる場合があるとされていますが(第19回 よくあるご質問 Q3-15。参考情報)、新規購入を前提にした計画は成り立ちません。

A

新商品開発費として計上できます。試作にかかる原材料費とデザイン費が対象で、使い切りが前提です(P.11〜21)。ただしこの区分にはテストマーケティングや市場調査の内容と結果を記載することが必須という条件があり、記載がなければ対象外になります。試作品を誰に見せてどんな反応を得たのかまで計画と報告に含めてください。量産用の材料在庫や、販売目的で調達する製品は対象外です。

A

出展小間料や装飾費は展示会等出展費、担当者の交通費や宿泊費は旅費で、区分が分かれます(P.11〜21)。旅費は国の旅費支給基準に準拠し、航空機はエコノミークラスまでです。日当、ガソリン代、タクシー代、高速道路料金、グリーン車等の付加料金は対象外で、レンタカー代と駐車場代も対象外です。また、国の助成を一部でも受けている展示会への出展は対象外になるため、出展を決める前に主催者へ確認してください。

A

中古品は50万円未満のものだけが対象で、金額にかかわらず全件について2者以上の相見積りが必要です。オークションでの落札や個人からの購入は認められません(P.11〜21)。また修理費は対象外なので、中古機を入れてから整備する費用は補助されません。なお新品を含め、発注総額が50万円(税込)を超える場合は原則2者以上の相見積りが必要で、単価50万円(税抜)以上のものは処分制限財産として通常5年間、処分に事務局の承認が必要になります。

A

注意が必要です。要領では他社のための取組として「他社製品製造用の機械」が対象外に挙げられています(P.18〜20)。受託加工が中心の事業者の場合、その設備が自社の販路開拓のためのものであることを計画で説明できるかが判断の分かれ目になります。特定の取引先の要請で導入する専用設備は個別の判断になるため、計画を固める前に商工会・商工会議所の窓口で具体的に相談してください。

A

政策加点のひとつに小規模事業者卒業加点があり、従業員数を小規模事業者の定義を超えて拡大する場合(製造業その他では21人以上)に選択できます(P.32〜41)。ただし、この加点で採択されて事業を実施した事業者は、以後この補助金の対象外になります(P.5)。また、原則として補助事業終了まで小規模事業者の要件を維持する必要があり、維持できるかどうかは計画段階で判断が必要です。卒業加点を使うかどうかは、次回以降の申請予定も含めて検討してください。

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本記事の監修

齊木祐介(株式会社ASI 代表取締役)

AI・ロボティクスの導入支援、補助金・助成金の活用支援、専門メディアの運営など複数事業を統括。実務で得た知見をもとに、本サイトの情報を監修しています(運営:株式会社ASI)。

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